映画『FALL/フォール』は、地上600メートルの廃墟のテレビ塔を舞台としたサバイバル映画。高所恐怖症の人には向かない作品ですが、舞台設定のみならず、作中で描かれる人間ドラマも必見。今回は、本作の撮影秘話やヒロイン・ベッキーがどうやって助かったのかについて、ネタバレありで解説します。
【ネタバレあり】映画『FALL/フォール』のあらすじは?
ヒロイン・ベッキーは、山でのフリークライミング中に夫を落下事故で亡くした女性。親友ハンターは彼女を元気づけるため、現在は使用されていない超高層テレビ塔に登る計画を立てる。
老朽化したはしごを登り、地上600メートルの頂上へ到達することに成功したベッキーとハンター。しかしはしごが突然崩れ落ち、2人は鉄塔の先端に取り残されてしまう。
地上600メートルの高所はどうやって撮影した?
本作の見どころは何といっても、地上600メートルの高所からの絶景。高所恐怖症の人は真っ青のすばらしい眺めではありますが、まあ実際はスタジオとかで撮影しているんだろうな~と思っていたんですよね。
が、実際は監督のこだわりでCGは使わず、実際に建設した鉄塔を使用したリアルな描写を徹底したそう。
メイキング映像をチラッと見ましたが、高所での撮影にカラカラな砂漠という環境下はかなりつらかったと語られています。これ、観る前に知ってたら良かったなあ。。
【ネタバレ注意】映画『FALL/フォール』のネタバレ感想と考察
鉄塔に登ったベッキーはどうやって助かった?
無謀な友人に付き合って鉄塔に登り、案の定降りられなくなり取り残されたベッキーとハンター。
しかし、ベッキーとともに生き延びていたと思われたハンターは、実際は早い段階で塔から落下し、命を落としていました。
ベッキーは助けを呼ぶために塔の構造を利用してドローンを充電し操作しますが、不慮の事故により失敗。
そこで、電波が通じる地上にスマホを落として救助要請のメッセージを送るという最終手段をとります。
が、そのまま地上にスマホを落とせば機器が壊れてジ・エンド…。というわけで最終的に、親友・ハンターの遺体にスマホ機器を埋め込んでメッセージを送信するという壮絶な選択をします。
ハンターの死亡はいつ…?
ハンターが命を落としたのは、通信塔に引っかかったバッグを回収するために彼女自身がロープを使って降りたシーン。
登場人物の一人が実は死んでいた…という展開は個人的にあまり好みではないのですが、この作品に関してはすごく良かったと思います。
ハンターの死が明らかになるタイミング、それを最大限に利用するベッキーの機転。このあたりの魅せ方がすばらしかった。このトンデモ設定において、最大限にエンタメ性を重視したつくりになっていたと思います。
気まずいシーンはある?イライラする人も…
ハンターが、ベッキーの亡き夫との関係を明かすシーン。
このあたりの描写は気まずいというより、ただただ悲しかった。まあ、極限状況で隠しきれない人間の本音というやつなのかなあ。ちなみにエロシーンは特にありません。
「そもそもこんな状況になったのはお前のせいなのに、なぜこのタイミングで火に油を注ぐ…!?」とハンターにイライラする人も多いようですが、しかしこの展開、少なくともベッキーにとっては決して悪いものではなかった気もします。
死んだ人は美化されるとよくいいますが、ベッキーは間違いなく亡き夫を美化しすぎていたと思うんですね。
それが、ハンターの告白により初めて目が覚めたのでしょう。知らないままであれば、きっと一生死んだ夫を引きずったままだったんじゃないかなあ。
高所うんぬんより、個人的にはむしろこのあたりのベッキーの内面描写により引き込まれました。
グロシーンは大丈夫?
ここ気にする人も意外と多いようですが、間違いなくグロさはありますよ笑。ハンターの遺体を貪るハゲタカの図とか、ふつうに恐怖映像でしたw
でも、グロさを前面に推した作品ではないのはたしか。あの鉄塔からの脱出劇は、おそらくベッキー自身の精神の再生でもあるのでしょう。
高所恐怖症の人には視覚的に辛いかもしれませんが、ベッキーの心理状態の変化に着目してみるとヒューマンドラマとしてふつうに楽しめる気がします。