【7seeds】外伝で描かれたその後のネタバレ感想と考察| 花が嫌いな読者が多いのはなぜ？

2001年～2017年にかけて連載された衝撃のサバイバル少女漫画『7seeds』。番外編である『外伝』では、本編で語られなかった「その後」のエピソードや、ヒロインである花と安吾＆涼の関係性などが描かれています。

今回は、7seeds外伝の内容やネタバレ感想、花が嫌いな人の意見などについて。

【ネタバレ】『7seeds』外伝にて描かれた「その後」とは？

本編最終巻である35巻にて、ついに春夏秋冬全チームが終結。さまざまな動物や植物が生きながらえている佐渡に居を構え、なんとか安定した生活を築こうとする日々が始まった。

食べ物や住居の確保などでせわしい中、かつて「罪人」と称され秋チーム（プラス夏A・春）のもとを追放された安吾と涼は、いまだ他チームと和解できないまま…。

安吾を心配した涼は、彼が花と鉢合わせるようしむけた。安吾は花に謝罪するが、返ってきたのは「あたしに近寄らないで」の言葉…。

花を心配する嵐、そして安吾を心配するナツとまつり。壮絶な日々をともに乗り越えてきた30名の新たな日々が幕を開ける。

7seeds外伝は、内容・ストーリー展開ともにとても面白いものだったと思います。正確には35巻で完結ということでしたが、実際に多くの読者が気になっていたのはこの『外伝』にて描かれていたその後の展開なんじゃないかな。

夏Bをのぞく全チームからあれだけ拒否られていた安吾と涼が、その後、どんなふうに彼らと関わっていくのか？　少なくとも花との和解は絶望的なのでは…。

そんな疑問に対する答えがきっちり詰まった真の最終回だったと思います。

ヒロイン・花が嫌いという読者が多いワケとは

花はずるい？優遇されすぎている？

そして『外伝』を読んだ上で個人的に気になるのが、「ヒロイン花が嫌い・好きになれない」という読者さんの声が（主にネット上で）思った以上に多いこと。こういう意見を持つ人の多くはきっと、花と敵対する形になった安吾（＆涼）のファンなのでしょう。

とはいえ、花が安吾と涼にされてきたことを考えると、彼らを受け入れられないのは当然のことではないかと思うんですね。強姦未遂、殺人未遂…。字面だけみてもかなりエグイし、そもそもこれ少女漫画なんだよ！　と声を大にして言いたい。

スケール大のサバイバル世界とはいえ、少女漫画である以上、ヒロインである少女が優遇されないはずがないのです。

ふつうなら地下の水路を流された際にとっくに死んでいてもおかしくない花ですが、生き延びてメインヒーローである嵐と無事に再会。少女漫画としては、これ以上のハッピーエンドはほかにないでしょう。

7seedsは群像劇ですが、やはり根本的なストーリー展開は花とナツ、2人のヒロインを軸に展開していたように思います。

この世界観において、安吾と涼サイドが”優遇”されてしまったら、それはもう少女漫画ではないでしょう。もちろん「花が嫌い」は自由な感想ですが「ずるい」はさすがに違うんじゃないかと思うんですよね。

彼氏・嵐がいるのに新巻さんに惹かれた花

しかし、そんな花もやはり人間ですから思考には矛盾があります。特に気になるのが、最愛の彼氏である嵐がいるにもかかわらず、新巻さんに惹かれていた点ですね。

さらっと描かれていますが、この展開は少女漫画としてはかなり攻めてるよなあと思います。通常ならば、ヒロインの存在意義はあくまでメインヒーロー！　が当然の世界観なはず。ヒロインが他の男を気にしてフラフラしている時点で前提が崩れているともいえます。

が、この点については本編において嵐が最適解を出してくれています。

「花をダシにしないでください！」

新巻さんに向けられたセリフではありますが、この言葉がすべてなのかなと。新巻さんは「笑いかけてくれた」花に対し、ある種の刷り込みというか執着心を持っていました。

おそらくは花のほうも、そのことは無意識に察していたんじゃないかな。野生のカンはとことん優れた彼女ですから笑。　この点、花と新巻さんのあいだには、一種の共依存が生まれていたんじゃないかという見方もできるでしょう。

お互い「好き」ではあったけど、決して恋愛ではなかったんじゃないかな。そう考えると、花があゆのように「鷹さん」とは呼べなかったのにもうなずけます。

安吾はかわいそう？それとも自業自得？

そして、花が優遇されるがゆえに虐げられているキャラクター・安吾。とはいえ花にしてきたことは簡単に許されるべきことではないでしょう。

「安吾がかわいそう」の声も多いものの、少女漫画が性犯罪を軽く扱ったらもうおしまいだと思うんですよね。外伝の落としどころは、秋チームからの「追放」とほぼ変わらず、ひとまずコミュニティには入れないというところでしたが、まあ妥当だったのではないでしょうか。

しかし、安吾も涼も決して根っからの悪人ではないからこそまたつらい。特にナツやまつりら夏Bチームからすれば「自分に何かしてあげられることはないか」とつい考えてしまうのが自然でしょう。

安吾や涼が、花やハル、桃太たちに本当の意味で受け入れられるためには、きっと10年～20年単位の時間が必要なのだろうと思います。いや、もっとかかるかもしれない。

「殺されかけた」相手を受け入れるなんて、そもそも人間にできることじゃないのかもしれない。外伝ではそこを濁してハッピーエンドにまとめていないのがとてもよかったなあと思います。

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