日本を代表する4人組ロックバンド「エレファントカシマシ」(通称エレカシ)。1981年結成、1986年にデビューし幅広い表現活動を続けてきた当バンドは2023年3月、無事35周年を迎えました。
この記事では数あるエレカシ楽曲のうち、個人的におすすめしたい「春の歌」ベスト3をご紹介します。
エレカシ楽曲には”季節ソング”が多い
エレファントカシマシの楽曲には、日本の四季の風情を端々にただよわせた作品がとても多い。私たち日本人がエレカシ楽曲を聴いて素直に感動を覚える理由の一つは、実はそこにあるのかもしれない。
もちろん日本のほかにも四季がある国は存在するが、およそ3か月ごとにはっきりと季節が移り変わっていく国というのはあまりない。
春の桜を愛で、夏の海であそび、秋の味覚を楽しみ、冬のピンと張った冷気を体感する。季節の変化を楽しむという風習があるからこそ、その楽しさがそのまま歌詞となっている歌には心の底から共感できる。
太陽。月。風。空。花。朝。夜。
歌詞を聴いていると情景がそのまま眼前に広がってゆくような歌は、やはりうつくしい。こういう歌を聴いて感動できるのは、やっぱり四季を愛でる風習のある日本人の特性の一つなんじゃないだろうか。
というわけで今回は、数あるエレカシ楽曲のうち『春』をテーマにした作品について、個人的おすすめ曲ベスト3をまとめてみた。
エレカシの「春の歌」個人的ベスト3!
①四月の風
エレファントカシマシで”春歌”といえばやはりこれは外せない。『四月の風』はエレカシ10枚目(※再発売時は12枚目)のシングル曲。当初はエレカシの代表曲『悲しみの果て』との両A面シングルとして発売された。
この楽曲はエレファントカシマシがポニーキャニオンに移籍して最初にリリースした作品であり、また当時のFM802のヘビーローテーションとなり多くの人に聴いてもらう機会に恵まれたことから、エレファントカシマシの再ブレイクの一端を担った曲としても広く知られている。
明日もがんばろう 愛する人にささげよう ああ君に会えた 四月の 四月の風
歌詞、曲調、サウンド、どの要素をとってもとにかく”爽やかな”曲だ。ポップで明るくて前向きで、それまでのエレカシの楽曲とは一線を画している。
変化の時期である春は明るい季節で、未来への希望に満ちている。でもどことなくふわふわつかみどころがない空気感もあって、その落ちつかない感じを歌詞の端々に感じることができる。
ああ 何処へ行くのやら 明日は何があるのやら
私はエレカシファンになった時期が遅かったので、そもそも移籍前のエレカシを知らない。でも、さまざまな楽曲を聴いていると「あれ、この楽曲なんか特別感あるなあ!」と感じる瞬間がたしかにある。そして気になって詳細を調べてみると、なるほど、この曲リリース時はある種の「転機」だったんだなあ…と納得することも多い。
『四月の風』はエレファントカシマシというバンドの変化の時期をしっかり支えたとても重要な曲である。そして勝手な想像だけれど、この曲は彼らの代表曲『俺たちの明日』の基盤にもなっているんじゃないかとひそかに思うのだ。
②ハナウタ~遠い昔からの物語~
『ハナウタ~遠い昔からの物語~』は、2009年リリースのアルバム『昇れる太陽』収録曲。サントリー焼酎のCMソングとして書き下ろされた楽曲であり、またウェディングソングとしても高い人気を誇っている。
揺れてる木々からハナウタ ふたりを祝福するウタ そう感じた
『ハナウタ』は、非常にロマンティックな曲だ。エレファントカシマシの楽曲に”ロマン”を感じるという人は多いし、私もその一人だけれど、でもひと口にロマンといってもいろいろある。
「ロマン」という言葉は、たとえば”ファンタジック”と近い意味合いをもつ場合もあるし、”あるいは”ドラマティックな”という意味合いで”ロマンス”をあらわす表現として使われることもある。またよく「男の浪漫」とか言うように、男性のアツい信念や熱情を示す言葉としても使われる。
多くのエレカシ楽曲にただよう「ロマン」は、やっぱり”男の浪漫”と呼ばれるのがぴったりくるように思う。が、この『ハナウタ』という楽曲に限っていえば、それとは少し違う気がする。
こうして365日の音を集めて「これはオレからの贈り物だよ」っていえたら
「贈り物だよ」と言われて嬉しくない女性はいないだろう。勝手な解釈かもしれないが、この楽曲は男性視点ではなく、あくまで”女性が求めるロマンティックさ”が綿密に追求されている気がする。
『ハナウタ』はあくまでCMソングとして書き下ろされたものであるから、ウェディングソングとして人気が出ることは想定外だったはずだ。
それでも結婚式を彩る楽曲としてこれほど人気が出たのは、やはり歌詞のロマンスが”女性に”ハマる”ものだったからに他ならないのではないだろうか。
③桜の花、舞い上がる道を
ラストはこの曲だ。エレカシの人気曲『桜の花、舞い上がる道を』。リリースは2009年、アルバム『昇れる太陽』の収録曲である。
でも例えりゃあ人生は花さ ああ俺が再び咲かせよう
さあ今おまえと行く 桜の花舞い上がる道を
『桜の花 舞い上がる道を』は圧倒的な爽快感のある曲だ。
JPOPに桜という花をテーマにした楽曲はたくさんある。が、時とともに散っていく桜の儚さを歌った楽曲は多いものの、うつくしく咲き誇り風に乗って舞い上がる桜の花のたくましさを歌った作品はあまりない気がする。
そして今胸をはって生きていこう 桜の花 舞い上がる道を
桃色の鮮やかな花弁がぱっと宙に舞い、天高く舞い上がってゆく光景が目の前に見える気がする。聴く人にストレートに勇気を与える、そんな曲だ。
まとめ
今回はエレファントカシマシの「春の歌」個人的ベスト3を紹介した。
エレカシ楽曲には広く知られる代表曲のほかにも”隠れ名曲”的な歌がたくさんあるので、今後もカテゴリーごとにまとめていきたいなあと思う。
「こんな歌もいいよね!」「この曲も春っぽいよ!」というご意見やご感想等あればぜひ教えてください。それでは。