山田洋次監督の名作『遙かなる山の呼び声』が初放送から43年、舞台設定はそのまま、時代を現代に置き換えて帰ってきた。
出演者は主演の阿部寛のほか、常盤貴子、中原丈雄、筧利夫、高畑淳子など。
今回はNHKドラマ『遙かなる山の呼び声』第4話のあらすじとネタバレ感想・考察について。
NHKドラマ『遙かなる山の呼び声』第4話のあらすじ
前話ラストにて、街中で無事再会をはたした武志と耕作。武志は耕作をコンサートに誘い、耕作もつい「行くよ」と承諾してしまった。
そしてコンサートが始まる直前。
武志は会場のホールの前で耕作が来るのを待っていた。
「あのおじさん、もう来ないんじゃないかな。ほら、クラシックにもあまり興味なさそうだし…」西川が言うが、「おじさんは来ます。約束したから」とゆずらない武志。
そしてついに耕作がやってきた。
コンサートは無事始まるが、ピアノに興味のない耕作はつい居眠りをしてしまう。
夢の中で思い出していたのは、民子や武志とともに過ごしたあの牧場での日々。
演奏が終了し、耕作は拍手の音で目を覚ました。前のほうの席では、武志と西川が立ち上がって拍手している。が、武志が急に眩暈を感じ倒れてしまう。
耕作はあわてて駆け寄り、武志を西川の車まで運び込んだ。
病院には行きたくない、もう帰りたいという武志をなだめ、耕作は西川の車を運転する。向かう先は、民子の待つあの懐かしい牧場。
そして耕作は民子と数年ぶりの再会をはたした。
彼の選んだ答えとははたして…。
NHKドラマ『遙かなる山の呼び声』第4話のネタバレ感想・考察
数年ぶりに顔を合わせる耕作に対し、武志が以前と変わらない信頼を寄せているのがすごく良かった。
西川(藤井隆)の運転は不安だが、おじさんなら大丈夫!となぜか確信している武志。これは幼少時、バイクの後ろに乗せてもらって楽しかった記憶が影響しているのだろうか。
そして耕作を一目みた瞬間の民子の狼狽ぶり。まあ心の準備も何もできていない状態で、当の本人がいきなりあんなふうにあらわれたら仕方ないけども。
民子には耕作に対し数年分溜め込んでいた”言いたいこと”がたくさんあったんだろうな。西川がいるあいだはそれを顔にも口にも出さず、二人きりになった瞬間、初めて表に出すのが何とも彼女らしい。
なぜ手紙の返事をくれなかったのか。
そう問い詰める民子に対する耕作の返事はまあ予想通りのもので。
自分なんかが返事なんて書いちゃいけない…。
忘れなきゃいけないし、忘れてもらうのが正しいんだ。
それに対し、自分勝手な人ね!と素直に怒りをみせた民子にも、本当は耕作の気持ちくらい大体わかっていたでしょう。
そして最後まですれ違うことはなく、きちんと和解する二人。
この二人はこうなるべく出会ったんだなあという説得感が、ラストシーンの、あの北海道特有の雄大な景色に凝縮されている気がした。
4話完結は短いよなあと思っていたけど、終わってみるとちょうどいいスケール感だったように思う。山田洋次監督らしい、人情味あふれるとても温かい人間ドラマでした。