【彼氏彼女の事情】庵野秀明監督のアニメ14話 納品拒否された理由は?

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彼氏彼女の事情 エンタメ

漫画家・津田雅美先生の人気作【彼氏彼女の事情】、通称カレカノ。
かつてかの庵野秀明監督によりアニメ化もされた本作ですが、実は庵野監督により制作された第14話が納品拒否されてしまいお蔵入りになってしまったというのはカレカノファンのあいだでは有名な話です。

今回は【彼氏彼女の事情】アニメ版、幻の第14話について。

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TVアニメ【彼氏彼女の事情】について

庵野監督のアニメ作品の特徴

アニメ版【彼氏彼女の事情】の監督を務めたのは、アニメーター・映画監督・脚本家として名高い庵野 秀明氏。代表作は『トップをねらえ!』、『ふしぎの海のナディア』、第18回日本SF大賞受賞作の『新世紀エヴァンゲリオン』、第40回日本アカデミー賞などの数々の賞を受賞した『シン・ゴジラ』など多数。

アニメ好きな人であれば、庵野監督の名前を知らない人はまずいないでしょう。そして、庵野監督といえばエヴァやシン・ゴジラの印象が強いという人も正直多いはず。

さらに、庵野監督作品は好きだが漫画【彼氏彼女の事情】には詳しくないという人には、あの庵野監督がなぜわざわざ【少女漫画】のアニメ版の監督・演出を?と疑問をもつ人も多いのかもしれません。

たしかに庵野監督といえば、映像の細部にひたすらこだわったメカ造型であったり、あるいはやたらエキセントリックな映像演出をおこなうイメージが強いですよね。

一方で【少女漫画】というカテゴリを映像化するには、その名の通り『少女』の繊細な内面描写をおこなう必要があるため、なんとなく庵野監督作品の雰囲気とは”相容れない”イメージがあるのはまあわからないでもないのですが…。

しかし【彼氏彼女の事情】原作漫画の大ファンである私としては、カレカノのアニメ版はむしろ庵野監督だからこそ成立したんじゃないか…とすら思えてならないのです。

庵野監督の作風・演出そのものが【彼氏彼女の事情】の内容に合っていた

【彼氏彼女の事情】という漫画の内容についてざっくり説明すると、まあタイトル通り作中に次々登場する「彼氏」と「彼女」たちの抱える事情・内情をあらゆるエピソードとともに徐々にひも解いていくというもの。

この「事情」というのがまた、登場人物それぞれに、まあ本当にいろいろとあるわけで。

例えば思春期・青年期の若者によくありがちな自意識、あるいは他者意識の過剰性により生じる選民意識(これは主にヒロイン・雪野の話)、もしくは劣等感・鬱感(つばさ・まほさんあたり)…のような、いわば学園ものによくある日常的な感情であったり。

一方で、本作のヒーロー有馬くんの抱える過去の記憶(虐待・ネグレクト・暴力etc…)や、キーパーソン浅葉が家族(主に父親)から受け続けていた精神的虐待などなど、とことんダークな部類まで、深層心理から家庭問題まで各々の隠し持っている”事情”が本当に幅広く描かれます。

要は、カレカノは少女漫画作品にありがちな甘い空気感・雰囲気みたいなものがほとんど目につかず、逆にいえば恋愛系漫画(もちろん作品によるが)では若干隠されがちな大人の汚い部分や、世の中に存在する暗い部分、黒い事情…みたいなところが結構強調されがちな作品といえるわけです。

カレカノ特有のこの独特の空気感は、庵野監督作品特有の人間のエゴを精彩に暴き出すような心理描写やどこか幾何学的な演出にものすごく”マッチしていた”と個人的には思うのです。

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【彼氏彼女の事情】アニメ14話はなぜ納品拒否された?

では、【彼氏彼女の事情】アニメ版の14話はなぜ、テレビ東京側から納品拒否されてしまったのでしょうか。

当時の事情
第14話の総集編は庵野監督によって作られたが、これをテレビ東京が納品拒否した為に放送できなくなってしまった(この件により庵野監督が降板を申し入れることになる)。 その為、急遽スターチャイルド側のプロデューサー主導で新たに第14話の総集編が作られ(編集シーンの選択は大月俊倫プロデューサーによる)、放送された。 パッケージメディアでは通常のスタッフにより再度第14話を作り直したものを収録している。 庵野監督版および初回放送版は共にマスターは残していない為、庵野監督版は観ることは出来ず、初回放送版は当時のテレビ録画でしか観ることは出来ない。

Wikipedia【彼氏彼女の事情】

一応、正式にわかっていることは上記の通り。
あとはいろんな意見がネット上に落ちていますが、正直その多くが憶測にすぎません。

庵野監督が演出に凝り過ぎて制作に遅れが生じたため、テレビ東京サイドがさすがにこれ以上は…と納品を拒否した
・そもそも制作費やスケジュールなどに関するさまざまな事情の折り合いがついておらず、その限界がきたのが14話だった

などなど。

何にしても、制作費が足りなくなるとあたかも紙芝居のような演出に突入してしまうのはアニメーションの世界では正直、よくあることだったりします。

演出に凝り過ぎるか、その限界がきて紙芝居状態になるか。

表裏一体のキビシイ部分ではありますが、正直カレカノアニメ版のラストの総集編みたいなところ、個人的にはわりと気に入っていたりもするんですよね。
そもそも原作が漫画であり、平面上にインクで描かれたものなんだからそんなに違和感なかった…というところも大きいのかもしれないけども。

とにかくその納品を拒否されたという幻の14話、カレカノファンとしては非常にみたい。13話付近で一馬・つばさの問題がひと段落しているのでその続きというわけで、原作カレカノを考えるといよいよ見せ場到来!というところだったんじゃないでしょうか。

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