映画『天使のくれた時間』(原題:The Family Man)は、2000年公開のアメリカ映画。主演はニコラス・ケイジ、監督はブレット・ラトナー。
テーマは「愛と家族、人生の選択」。観るタイミングによって解釈も変わるんじゃないかな。展開の一つひとつにさまざまな解釈ができるのが面白いところ。今回は、黒人キャッシュの正体やベルの意味について個人的な考察をまとめています。
【あらすじ】映画『天使のくれた時間』はどんな話?
作品テーマは「選択の重要性」
『天使のくれた時間』は、成功を夢見て恋人ケイトと別れたビジネスマンのジャックが、13年後のクリスマスに突然、家庭人としての”もうひとつの人生”を体験し、本当の幸せに目覚めていく大人のファンタジー。
簡単に言うと、人生の選択がどれほど大切かを問いかける映画です。
展開だけをみれば「ファンタジー」に分類されるのかもしれません。
しかし、じっくり観ていくと、むしろ誰もの人生に当てはまるリアルな現実があらゆる形で表現されているのがわかるはず。
「あのときこっちの道を選んでいれば…」とふと考えてしまうことは誰だって一度はあるでしょう。
タイムリープものとはいえ、物語の構造そのものは非常にシンプル。
特定の思想や宗教観が強い作品ではありませんが、特にパラレルワールドの概念に詳しい人、スピ系への造形が深い人はどっぷりハマれるんじゃないかなあ。
【ネタバレ考察】黒人キャッシュの正体は?
主人公ジャックの運命を変える「天使」もしくは「神の使者」
劇中に登場する黒人男性キャッシュは、物語のキーキャラクターの1人。
主人公ジャック(ニコラス・ケイジ)の人生を大きく変えるきっかけとなる存在ですね。
物語の展開を観れば、彼が単なる人間ではないことは明らか。時間を操作する能力を持つキャッシュは、主人公ジャックに「別の人生」を体験させます。
劇中では、キャッシュの正体について最後まで明らかにされることはありません。わかりやすい言葉で定義するなら、「天使」や「神の使者」といった感じでしょうか。
キャッシュのキャラがまた良いんだよな~。ちょっと人を食ったような表情とか話し方が本当に魅力的。
彼に出会わなければ、ジャックは一生「自分が本当に望むものは何か」について深く考えることはなかったんじゃないかな。
気になる人多数! ベルの意味は?
タイムリープものには「キーアイテム」がつきもの
本作にて、主人公ジャックが手にするベルにはどのような意味があるのか気になっている人も多いでしょう。
いろんな解釈が可能ですが、個人的にはこのベルは、タイムリープものにつきものの「キーアイテム」なのだろうと考えています。
有名な作品でいえば、たとえば『時をかける少女』では、ヒロインが時空を超える際のキーアイテムは「クルミ」。
そのほか、懐中時計や手紙、特定の場所などがキーアイテムになっている作品も。たとえば、ある腕時計が「止まった時間を動かす」象徴として機能したり、一冊の本が「未来を知る」ための鍵となったりします。
ベルの音は「目覚め」を意味している?
さらに、ベルの音は「目覚め」を意味しているとも解釈できます。
ジャックが過去と現在を行き来し、最終的に家族とのつながりを再認識していく中で、ベルの音はその変化のきっかけとなります。
最娘アニーがジャックに向かってベルを鳴らす演出がまたすばらしい。
個人的に一番好きなシーンの一つかもしれません。
つまり、ベルはジャックの心が開かれる瞬間や、彼が自分の心の奥底にある価値観を再確認する時のシンボルになっているのです。