【暁のヨナ】燃える緋龍城に緋の病…それぞれどんな意味があるのか？【ネタバレ考察】

『花とゆめ』（白泉社）にて連載中の少女漫画『暁のヨナ』。作中では緋龍城が燃える描写や「緋の病」なる謎の病が登場しますが、はたしてそれぞれの要素が何を意味するのか気になるところ。今回は、『暁のヨナ』の意味ありげなストーリー展開について、往年のヨナファンの視点から語ります。

【ネタバレ】『暁のヨナ』燃える緋龍城の意味とは？

『暁のヨナ』40巻にて、南戒サイドからの奇襲により火をかけられ炎上してしまった緋龍城。

初代四龍の一人であるゼノの世代から変わらず存在していたという歴史あるお城が、ここにきて燃えてなくなってしまった……という衝撃展開です。

もっとも現王スウォンが全く動揺をみせなかったため、作中では拍子抜けするほどあっさりした描写で終わってしまいましたね。しかしこれがもし時代劇なら、城が燃えた時点で一撃KO～終了！　となっても全くおかしくはないわけで。

城が燃えるといえば、個人的に思い出すのは『炎の城』という邦画です。この映画、よく考えるとあらゆる設定描写がヨナにそっくりなんですよね…。

戦国時代を舞台とした一作ですが、主人公である若長がちょっと城を離れていたすきに、父親を叔父さんに暗殺されてしまい、王座を奪われてしまうんです。イル王をスウォンに殺されたヨナが城を追われる冒頭の展開と基本的には同じですね。

ちなみにこの『炎の城』という一作は、シェイクスピアの『ハムレット』のオマージュであるとされています。何がいいたいのかというと、物語の根幹を担う「お城」が炎により物理的に消滅してしまうというストーリーは、あらゆる有名な古典作品で描かれがちな、かな～り象徴的な展開であるということ。

そもそも世間知らずなお姫さまが従者と2人きりで城を追われるという設定そのものも、実はいろんな古典童話でみかける設定なんですよね。

たとえば『シェーラ姫のぼうけん』という児童文学は、ヒロインであるシェーラ姫が従者とともに国を追い出され、剣を持って悪者のドラゴンと戦う…といった内容です。うん、これもうヨナの世界観そっくりやん！！　ドラゴンが味方でなく悪者であるという点を除けば、ですけどね。

ヨナの世界観において、緋龍城は「お城」という居場所であり、それ以上でも以下でもないんだろうな～と思っています。ヨナ姫もスウォンも、お城そのものには大して思い入れはないはず。

しかし四龍、特にゼノにとっては単なる居場所ではなかったわけで。もともと共闘していたわけではない白龍、緑龍、青龍が手を組んでいるうちに同士の念が芽生えるという「バディ・ムービー」っぽさもあってか、前提となるキャラ設定がいろいろと面白い。

あらためて考えてみると、やはり緋龍城はヨナたち王族のためではなく、あくまで四龍のために用意されたお城なんだろうなあと思うのです。

そしてもう一つの見どころはここですね、緋龍王の血筋の人間を情け容赦なく襲う「緋の病」。頭を割るような頭痛がひたすら続く…という症状が続きやがて死に至るという鬼の病ですね。

現在、メインキャラであるスウォン＆メイニャンがこの病に苦しめられており、読者サイドからも注目が集まっています。この「緋の病」は治るのか、それとも治らないのかという問題は、ヨナファンのあいだでも長いこと議論されてきたところでしょう。

結論からいうと、うーん…まあ治らないんじゃないかな！！　というのが個人的な意見です。

「緋の病から回復した人間は一人もいない」というゼノの意見は前提として、そもそもここでこの病気が治ってしまったら、それはもうザ・ご都合主義というやつなんじゃないかなと思うんですよね。こういっちゃなんですが、物語としての面白みに欠けるといいますか。

緋の病によって苦しむスウォンとメイニャン（世代をさかのぼればヨンヒさまも）、そして短命に苦しむ龍たち…という地獄絵図は、結局のところ緋龍王（ヨナ）の持つべきパワーをより際立たせるための単なる構築要素なんだろうなあと思って読んでいます。

面白いですよね、この世界観のつくりや盛り上げ方のスケール感。それこそ大河並みといっていいんじゃないかなあ。今後の展開にも注目です。

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