【歌詞】吉澤嘉代子の新曲『氷菓子』(映画『アイスクリームフィーバー』主題歌)を語りたい

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音楽

シンガーソングライター吉澤嘉代子さんの新曲『氷菓子』は、2023年7月にリリースのシングル曲。

今回は、映画『アイスクリームフィーバー』の主題歌として書き下ろされた当楽曲『氷菓子』の歌詞や、『アイスクリームフィーバー』の原作である川上未映子さんの短編小説『アイスクリーム熱』などについて。

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シンガーソングライター吉澤嘉代子さんは何者?どんな人?

1990年生まれ、33歳の吉澤嘉代子さんは埼玉県の出身。

2010年3月、ヤマハ主催のコンテストにてオーディエンス賞を受賞し、2013年6月、インディーズ 1st mini Album「魔女図鑑」にてデビュー。
『魔女修行育ち』と名乗り、音楽は世の中とつながる手段であると同時に変身願望を満たす手段でもある、と語っている。

また過去のインタビューなどにて、歌詞を書くときは毎度、曲ごとの世界観や設定を細かくノートに書き出すと話している。

吉澤嘉代子さんについて個人的に強く印象に残っているのは、『女性シンガーソングライターは、書く歌詞すべてが自分自身の経験にもとづくものであると捉えられることが多いが、決してそんなことはない』(意訳です)と過去のラジオ(だったと思う)で語っていたこと。

たしかにその傾向は、男性のシンガーソングライターよりも女性シンガーソングライターのほうがはるかに強いように思う。
『これがこの人の考え方なんだなあ』『こういう生き方をしてきたんだろうなあ』『異性とはこういう付き合い方をしてきたんだろうなあ』。

曲ひとつでそこまで憶測されてしまうことも珍しくはない世の中。

しかし吉澤嘉代子の紡ぎ出す歌詞はものすごく独自性が高い。ファンタジックであったり、ファンタスティックであったり。そしてそのぶん、聴くほうに解釈をゆだねる部分もかなり大きかったりするという特徴がある。

では、新曲『氷菓子』の歌詞をみてみよう。

吉澤嘉代子『氷菓子』歌詞について

『氷菓子』は、落ちついた曲調の楽曲だ。映画『アイスクリームフィーバー』の内容を意識して書いたという歌詞の言葉を丁寧に伝えようという意思が感じられる。

東京の空に朝と夜が交ざりあう
青い夢よどうか醒めないで

吉澤嘉代子『氷菓子』

序盤のこの歌詞がすごく好きだ。夜とも朝ともつかない微妙な色合いの空が目に浮かぶよう。なんとなく『東京絶景』の歌詞を思い出した。

東京の窓に流れてく 光と影はせわしい
東京は美しい うたかたのプラネタリウム
東京の美しい 無口な朝の路

吉澤嘉代子『東京絶景』

吉澤嘉代子は東京という大都会の片隅におちている美しさを歌詞の中でそっと表現するのがものすごく上手いと個人的に思う。

たとえば東京のせわしなさや人の冷たさ、雑踏のざわめきを歌った楽曲は世の中にたくさんあるけれど、”東京のごみ捨て場”を歌った曲なんてなかなかないんじゃないだろうか。

野良猫があさるごみ捨て場に 額縁をはめてみる

吉澤嘉代子『東京絶景』

そしてなんとなく気になったのはこの部分。

どんなに叶わない二人でも 百万年きみを愛す

吉澤嘉代子『氷菓子』

『百万年きみを愛す』、こういうアイドルソングっぽい表現は吉澤嘉代子はあまり使わないという勝手なイメージがあったため、個人的にはちょっと驚いた。

たとえば彼女の代表曲にして最大のラブソング(と勝手に認定している)『残ってる』の歌詞にも、『好き』『愛してる』というワードは一切出てこない。ましてや『百万年』とか『永遠に』とか、そういう夢物語っぽい表現も、彼女の歌詞の中ではほとんどみたことがない。

「愛す」は、映画『アイスクリームフィーバー』の「アイス」とかけているのだろうか。インタビュー等をくまなくチェックしたわけではないのでもしかしたら違うかもしれないけれど。

でももしそうなら、こういう言葉遊びっぽい感じや曲全体に漂う叙情的な雰囲気はやっぱりすごく吉澤嘉代子っぽいなあと思う。

『氷菓子』MVについて

そして『氷菓子』がすばらしいのは、何といってもミュージックビデオの内容だ。
『氷菓子』MVに出演しているのは女優・吉岡里帆さん、そして女優・モデルのモトーラ世理奈さん。

吉岡里帆さんはかつて楽曲『ものがたりは今日はじまるの』のMVにも出演、そしてモトーラ世理奈さんは『残ってる』のMVに出演していた。

吉澤嘉代子の独特の世界観を作り上げてきたメンバーがこうして一つの画面に収まっているのを見られるのが、いちファンとしてとても嬉しい。

『アイスクリームフィーバー』原作の『アイスクリーム熱』は川上未映子さん『愛の夢とか』収録
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