白泉社が発行する漫画雑誌【花とゆめ】にて連載中の少女漫画『暁のヨナ』。
アニメ化や舞台化、さらにはヨナカフェなどさまざまな関連イベントも開催されており、メディアミックス作品としても注目を集めています。
今回は漫画【暁のヨナ】の149話(26巻収録)『空しき名』のネタバレ感想と考察について。
【暁のヨナ】149話(26巻収録)『空しき名』のネタバレ感想と考察
最期までブレずに信念をもって死んでいったミザリ
『暁のヨナ』149話は一言であらわすなら、長かった真国編の最終章という感じでしょうか。真国の武人集団・五星のうち、半数は亡くなるか重傷を負っているという状況下、もはや高華国との戦は不可能であるとコウレンも悟っていたでしょう。
しかし一方、そんな彼女を崇拝していた五星の末っ子・ミザリは何を思っていたのでしょうか。ストーリーの展開上、あらゆる意味で”分岐点”ともいえるこの149話ですが、個人的に注目したいのはやはり、最後まで信念を曲げなかったミザリの最期について。
真国・五星の末っ子・ミザリのキャラクター性について
初めて「ミザリ」という名前を目にしたとき、何となくぞわっとしたのはおそらく私だけではないでしょう。ミザリ…「misery」は英語で、悲惨さや不幸な状況を意味する単語です。
もちろん『暁のヨナ』の世界観にこうした概念が存在するわけではありませんが、ミザリのやたら歪んだキャラクター性、そしてコウレンに対する宗教的なレベルの崇拝のしかたとも相まって、読者サイドに彼の『異常性』を印象づけるには十分だったのではないでしょうか。
ミザリは生来、倫理観に欠けており、人の生き死にに痛みを感じない、また慈悲の心を持たないという、人としては欠陥だらけの人物でした。が、それは裏を返せば、暗殺者としては超一流の人材ともいえます。そうしたキャラクター性に着目するなら、ミザリは登場キャラの中で誰より”自由”かつ筋が通った人物であったともいえるのかもしれません。
誰か一人のために生きて、その人のために死ぬ…。『暁のヨナ』作中にてこれができる登場キャラは現状、ミザリとネグロだけのはず。自分が痛めつけられている状態で、他者の痛みをさらに引き受けることなど、普通にできることではありません。四龍のような”人外”ではなく、生身の人間でありながらそれをやってのけたミザリは、やはり武人としては一流ということなのでしょう。同時に、あれだけゼノの能力に執着していたのも納得がいきます。
そうした生き方が正しいかどうかは論点ではなく、ただ信念を曲げずに一貫して突き進むことができるのは武人冥利につきるのかもしれないなあと。
ただ、ハクや四龍ふくむメインキャラ一同にはその道は選んでほしくないというのも正直なところ。真国の登場キャラの生き様は、高華国のメインキャラにとってはある種の反面教師にもなり得るのかもしれません。今後の展開に期待したいですね。