白泉社が発行する漫画雑誌【花とゆめ】にて連載中の少女漫画『暁のヨナ』。アニメ化や舞台化、さらにはヨナカフェなどさまざまな関連イベントも開催されており、メディアミックス作品としても注目を集めています。
今回は『暁のヨナ』お馴染みの腹減り一行の良心ことユンくんのことについて、往年のヨナファン視点からゆる~く語ってみようかなと思います。
『暁のヨナ』ユンくんは腹減り御一行の”お母さん”?
『暁のヨナ』作中にて、なまじ能力が高いがゆえに仲間たちからたびたび「お母さん」などと揶揄され続けてきたユンくん。弱冠15歳の少年にとってはなかなか酷な呼称なんじゃないかとも思うのですが、まあたしかに料理ができる、繕い物ができる、さらには薬も作れるなど能力面においてはそんじょそこらの女性と比べても群を抜いていると言えるでしょう。
では彼はいわゆる”女”らしいのか、つまり女性性が高いのか…というとそれもまたちょっと違う気がしています。そもそも今の時代に”女らしい”、はたまた”男らしい”、みたいな表現や論争はどうなんだろうと思いますし、文章を書く身として、個人的にもこうした表現はあまり好きではありません。
が、ひとまず生まれ持った性格、というよりはいわゆる”脳のつくり”みたいなものに注目してみるのはどうでしょうか。一般に、男性脳の傾向が強い人は上昇志向や競争心が強い、そして女性脳の傾向が強い人は協調性が高く共感力に長けている、などと定義づけられています。
この点、往年のヨナファンとしてつくづく感じているのは、ユンくんは実は腹減り御一行の誰よりも上昇志向、上へ上へと向かっていこうとする心が強いんじゃないのか?ということなんですよね。
ここでは作中の表現を拝借して「腹減り御一行」などと呼んでいますが、平たく言うなら仮にも一国の姫君とその側近、そして生まれながらに”人”ではない、トンデモ能力持ちな人外4名の集まりなわけで。そんなパーティーに”只人”であるユンくんが平然と属している状況は、冷静に考えると結構異常と言えるはず。
城を追われたヨナとハクが普通の人以上に気を強くもち、己を鼓舞する強い心を持ち続けるのは当然のことです。そしてもちろん、生まれながらに異形の能力を与えられた四龍もそれは同じ。
そんなメンバーと一緒に行動し寝起きをともにし続けるのは、普通の精神の人間ならばすぐに苦しくなっていずれは限界がくるはずです。私たちで言うなら結果を出さなくてはならない部活や職場のチームなんかと同じで、たとえどれだけ仲がよかろうとウマが合おうと、意識の面にズレが生じれば関係はズルズルと崩れていきます。
とここまで長々と書いてきましたが、結論から言うと、そんなパーティーに属しながら平然と自我を保っていられるユンくんはやはり違う意味で”人外”と言って良いんじゃないかと。特別な身分も能力も持たない身で誰よりまっすぐな精神を維持し続けられる彼は、やはり家庭的な能力のみならず、女性性と男性性がともに抜きんでた非常にバランスのよい性格かつ性質を持ちあわせているんだろうなと思うのです。
『暁のヨナ』はイラストやキャラクターの見た目も美しい、目に楽しい作品だなあと思いますが、それは単に描線や彩色が綺麗だということばかりではありません。
いわゆるキャラクターの二面性、両面性、みたいな部分がものすごく繊細に描かれていて、それがいちばんダイレクトな形で読者サイドに伝わるようにつくられている。その美しさを一番強く感じさせてくれるキャラはやっぱりユンくんだよなあと思うんですね。個人的には次いでミンス、次いでヨナ、…くらいな感じでしょうか。ん、あれ、ヒロイン3位?笑(あくまで個人の感想です)。
最近はヨナ関連の記事の感想などいただけることが増えてきたので、こうしたゆる~いキャラ考察的な記事もちょっとずつ増やしていこうかなと。それではまた。