主に若い世代から注目されている新生シンガーソングライター・にしな。2022年にザ・ファーストテイクにて披露した「ヘビースモーク」や「青藍遊泳 」などのオリジナル楽曲や、2023年のライブハウスツアー「クランベリージャムをかけて」も話題となっている。
今回はシンガーソングライター・にしなの有名曲【ヘビースモーク】に似ている楽曲について。
にしなの有名曲【ヘビースモーク】に似ている曲5選!
①コレサワ【たばこ】
コレサワの【たばこ】は、2017年リリースのアルバム【コレカラー】収録曲。タバコが絡む失恋ソングと聞いて、まず思いうかぶのはこの曲だという人は多いだろう。
にしなの【ヘビースモーク】との共通点は、失恋相手が「ヘビースモーカー」だったということ。
そのため、コレサワの【たばこ】にしても、またにしなの【ヘビースモーク】にしても、歌の主人公が「タバコ」をもはや失恋相手と同一視してしまっているのが切ないし悲しい。
人の記憶に最も強く結びついている感覚は、嗅覚であるとよく言われる。
タバコの匂いというのは言うまでもなく強烈なもの。
だからこそ、そこに「恋愛」という厄介な感情が絡むと、楽しい記憶とつらい記憶が相まって脳内により強く刻み込まれてしまうのかもしれない。
②さとうもか【melt bitter】
さとうもかの【melt bitter】は、2021年リリースのアルバム『WOOLLY』収録曲。
この曲の歌詞内にはタバコは出てこない。が、主人公が終わった恋に対する未練をいまだ胸の中でくすぶらせている感じそのものが、にしなの【ヘビースモーク】の主人公によく似ていると感じる人は多いようだ。
私に染み込んでいるあの口癖は
にしな【ヘビースモーク】
あなたのものだったの
ずっと一緒にいたからこそ、「口癖が染み込む」…。
この表現は、にしなの【ヘビースモーク】にて、主人公がタバコやその煙そのものを「貴方」と同一視しはじめてしまっている、この感じにちょっと似ているような気がする。
どちらの曲も、歌詞内の表現が詩的かつ文学的で、そこに魅力を感じているファンは多いと思う。
③アイナジエンド【金木犀】
アイナジエンドの【金木犀】は、2021年リリースのアルバム【THE END】収録曲。一発どりパフォーマンス「THE FIRST TAKE」にて披露されたことでも注目された一曲。
アイナジエンド【金木犀】と、にしな【ヘビースモーク】の共通点は、主人公が金木犀の甘い香りやタバコの苦い香りを、そのまま恋愛の甘い感情や苦い記憶に結びつけてしまっているところだ。
香りは、人の記憶に強烈に結びつき、時には心そのものを支配する。
アイナジエンドの【金木犀】は、そのことを歌詞の中で非常に詩的に表現した一曲だと思う。アイナのハスキーボイスもたっぷり堪能できるのでファンにはとてもおすすめ。
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④きのこ帝国【猫とアレルギー】
きのこ帝国の【猫とアレルギー】は、2015年リリースされた楽曲。
きのこ帝国というバンドじたいは2019年をもって活動休止の状態になってしまったけれども、彼らの紡ぐ歌詞や独特の世界観は唯一無二のもので、いまだに魅了されているファンは多い。
触れなくていい忘れていいから
きのこ帝国【猫とアレルギー】
アレルギーでも
あなたは優しく撫でた
きのこ帝国の楽曲【猫とアレルギー】はどことなくとらえどころのない、ちょっと不思議な一曲だと思う。
歌詞の流れをみると、失恋ソングであることには間違いないと思われる。
ただ、ラストのフレーズ【アレルギーでもあなたは優しく撫でた】を聴くと、なんとなく不思議な気持ちになるのは私だけだろうか。
アレルギーというのは恋愛における何かの比喩なのか、あるいは文字通り「猫視点」の一曲なのか。優しい曲調といいふしぎな歌詞といい、きのこ帝国ファンには忘れがたい大切な一曲である。
⑤赤い公園【恋と嘘】
赤い公園の【恋と嘘】は、2017年リリースのアルバム【熱唱サマー】収録曲。作詞作曲は津野米咲さん。
赤い公園というバンド自体は2021年に解散しているため、若い世代にはあまり知られていない一曲なのかもしれない。それでも個人的にとても好きな一曲なので、今回のまとめに加えてみた。
小さな目じゃ 男らしく焼けたあなたの隣似合わないから
赤い公園【恋と嘘】
小さな胸じゃ 男らしく焼けたあなたの隣似合わないから
自信がもてず、極端なまでに自分自身を卑下する主人公が愛おしい。
にしなの【ヘビースモーク】と共通しているのは、どれだけグルグル考え続けても、結局は主人公の心の中の自問自答にすぎないところだ。
恋愛につきもののあのグルグルした行き止まり感がものすごく巧みに表現されており、そこに共感するリスナーは多いのではないだろうか。