主に若い世代から注目されている新生シンガーソングライター・にしな。2022年にザ・ファーストテイクにて披露した「ヘビースモーク」や「青藍遊泳 」などのオリジナル楽曲や、2023年のライブハウスツアー「クランベリージャムをかけて」も話題となっている。
今回はシンガーソングライター・にしなのライブや有名曲・おすすめ曲などについて。
にしなのライブはどんな感じ?
にしなのライブの客層は?
にしなは少なくとも現時点では、メディア等への露出が決して多くないアーティストだ。だからこそ、にしなのライブとははたしてどんな雰囲気なのか…と気になっている人は結構多いように思う。
結論から言うと、ライブでのにしなはわりと”ソーシャルイメージそのまま”という感じがする。
私が個人的に彼女を知ったのは2022年に公開された一発どりパフォーマンス「THE FIRST TAKE」がきっかけだった。不思議なアーティストだなあと思った。声にはハリがあり、表現にも表情にもきっぱりした意思のようなものが感じられる。
それなのにどこか寂しげな、よるべない雰囲気も持ち合わせている。歌をうたうという手段によって確固たる意思を全世界に向けて表示しながら、同時に、まるでひとりきりの部屋で壁に向かって独り言を呟いているかのような…。当時はまだ「にわかファン」にすぎなかった私にとって、にしなというアーティストはそういったイメージだった。
誤解を恐れず言うなら、にしなはライブという華やかな場でもその空気感をきっちり保っているように思う。お客さんをガンガン煽って盛り上げていくようなスタイルではなく、まるで自分一人しかいない空間であるかのように、楽曲を切々と歌い上げていくような雰囲気だ。
客層も、まあ若い世代が多いとはいえ結構幅広い。もちろん私はにしなのライブの全てを把握しているわけではないが、SNS等でファンの口コミをみていると、”一人で来て一人でじっくり聴いて一人帰っていく”コアな音楽ファン的なお客さんもわりと多いのだという。
【歌詞の意味】にしなの有名曲・おすすめ曲3選を解説!
ここではにしなの有名曲・おすすめ曲5選について、歌詞の意味と合わせてご紹介!
①にしなの代表曲【ヘビースモーク】
にしなの【ヘビースモーク】は、2021年リリースのアルバム【odds and ends】収録曲。にしなの代表曲としても広く知られている。
ヘビースモークは、ヘビスモーカーの男性に片思いをしている女性視点で描かれた歌だ。”失恋ソング”というよりは、絶対に叶わない恋を大事に胸に抱きしめてあたためている、その苦しさ切なさを、心の中で呟く独り言のように切々と説くような内容になっている。
正直似たコンセプトの楽曲はたくさんあるように思うのだけど、この曲がすばらしいのは、歌詞の随所にみられる”文学性”ではないかと思う。
ヘビースモーク
ヘビースモーク/ にしな
それか深く吸い込んで
貴方以上に体を蝕め
なにげなく聴いていると、曲のラストフレーズ「貴方以上に体を蝕め」がリスナーの心に強く印象付けられる。
主人公は「貴方」を中毒レベルで魅了する「タバコ」になりたいのだ。あるいは「貴方」と「タバコ」をもはや同一視しはじめているのかもしれない。
②にしな【真白】 歌詞の意味は?
にしなの【真白】は、2021年リリースのアルバム【odds and ends】収録曲。【ヘビースモーク】とちがい、歌詞をみていくとこちらは明確に「失恋ソング」という雰囲気がある。
消えない取れない飛べないように 深く傷をつけた 返してよ私のはじめてを
にしな【真白】
<私のはじめて>は、心のことなのかそれとも体のことなのか。どちらの意味にもとれるし、正直そこはどちらの意味に解釈してもかまわないと思う。
事実として、主人公が「君」に「はじめての純情」を奪われた、そして「君」は去っていった、という事実だけが残る。
どうでもいいことかもしれないけれど、【真白】の序盤の歌詞<ライターで膨らむポケット会いたくなってしまうよ 君はずるいボーイ>というフレーズが個人的にちょっとだけ気になる。
「ライターを所持している」…つまり喫煙者?…もしかして【ヘビースモーカー】の「貴方」と同一人物?…なんて、勘ぐりすぎか。あるいはにしな自身がそういう人物設定が好みなのかもしれない。
③にしな【青藍遊泳 】は門出を記念した一曲
にしなの【青藍遊泳 】は、2022年リリースのアルバム【1999】収録曲。
青藍遊泳 は「せいらんゆうえい」と読む。
一発どりパフォーマンス「THE FIRST TAKE」でも披露された、ファンにとっては思い出深い一曲でもある。また、にしなが仲間と離れて一人でやっていくことを記念した門出の曲と説明されている。
歌詞、メロディーラインともにどこか懐かしいような、もの寂しい雰囲気がある。なんというのか、”日本人にハマりやすい”空気感がそこにふわんと広がっている。
<青いプール><夜空の星屑><夜の星座>、歌詞にちりばめられている、どことなく「青春」を感じさせる、青くもロマンチックなフレーズの数々。
一応は「別れの歌」なのに、聴き終わったときに悲しさよりは希望が先立つのは<さらば友よ 忘れてしまえよ>というフレーズにみられる「割りきりの良さ」が理由なのかもしれない。
”寂しさ”はあるが、”だらだらした未練”は一ミリもない、そんな一曲だと思う。