日本を代表する4人組ロックバンド「エレファントカシマシ」(通称エレカシ)。1981年結成、1986年にデビューし幅広い表現活動を続けている当バンドは2023年3月、無事35周年を迎えました。
本記事ではそんなエレカシの名曲「RAINBOW」(レインボー)の歌詞について、いちファンとして考察を書いています。
エレファントカシマシ『RAINBOW』概要
『RAINBOW』は、エレファントカシマシの22枚目のオリジナルアルバム。
前作『MASTERPIECE』から3年半ぶりのアルバム作品であり、映画『のぼうの城』主題歌『ズレてる方がいい』を含む全13曲が収録されている。
エレファントカシマシ『RAINBOW』はなぜこんなに”カッコいい”のか
アルバム名にもなっている表題曲『RAINBOW』を初めて聴いたときにまず抱いた感想は、非常に月並みではあるが「うわ~カッケェ!」というものだった。本当に歌詞、曲調、アレンジ、そして高速のボーカルすべてがピタリとマッチしていて、文句のつけようもなくどこまでもかっこいい。
そして、これまたありきたりな表現だが「ほんとうに底知れないバンドだなあ…」とも思った。
アルバム『RAINBOW』がリリースされたのは2015年。つまりこの時点で、エレカシはデビューして約30年のベテランバンドなのだ。
それなのにこの『RAINBOW』には、若者しか持ち得ないような荒々しい勢いと疾走感が宿っている。歌詞を一つ一つ眺めていくと、まるで若さと無謀さを武器に戦い始めた駆け出しのバンドのもつような鋭さすら感じてしまう。
エレファントカシマシ『RAINBOW』歌詞について
歌の主人公”ヒーロー”は強さと弱さをあわせもつ
陽だまりも宇宙も 悲しみも喜びも 全部この胸に抱きしめて駆け抜けたヒーロー
デリケートもクレイジーも 全部心の中に抱いたヒーロー(歌詞より引用)
『RAINBOW』の歌詞をみていくと、「ヒーロー」というワードが随所に登場する。エレファントカシマシの楽曲で”ヒーロー”というと個人的には『真夜中のヒーロー』が頭に浮かぶ。
ヒーロー、つまり「男主人公」という意味だ。カッコよくて、無敵で、どんな困難にもくじけない、そういう人物像がぽわっと思い浮かぶ。しかし当楽曲『RAINBOW』の主人公であるヒーロー「俺」は、カッコ良さや爽やかさだけでなく、どこか遠くを眺めているような物悲しい哀愁に満ちている。
ふと見上げれば変わらぬ輝き 月の光 俺を照らしている
暮れゆく秋の空 少年追い易く(歌詞より引用)
”月の光”や”秋の空”といったワードは、どこか切なさを秘めているように思う。太陽の光を反射して発光する月は、自分一人では輝けない。秋の空はうつろいやすい。綺麗なもの、汚いもの、変わらないもの、変わりゆくもの、すべてを抱きしめてヒーローは駆け抜ける。
”それが俺さ 嘘じゃないさ”
ヒーローはボーカル宮本氏自身のことなのかもしれないし、あるいは彼が音楽を通して追い求めている理想の姿でもあるのかもしれない。