1993年放送のTBSドラマ『高校教師』は、真田広之さん演じる生物教師と桜井幸子さん演じる女子生徒のあいだに生じる禁断の愛を描いたストーリー。脚本は野島伸司。ただ、その特殊な設定や表現・展開に『気持ち悪い』など賛否両論の意見もみられます。
今回はドラマ『高校教師』劇中に出てくる名言や名シーン・印象の強い台詞について、個人的考察とあわせてご紹介!
【ネタバレあり】ドラマ『高校教師』の名言・印象的な台詞7選
①ドラマ「高校教師」第1話「あたしが全部守ってあげるよ、守ってあげる!」by 繭
『心配いらないよ、あたしがいるもん
ドラマ『高校教師』1話
あたしが全部守ってあげるよ、守ってあげる!』
これは桜井幸子さん演じる繭が、まだ出会ってまもない羽村に向けた言葉。母性あふれる女性として描かれている繭ですが、そうした一面が初めて明確に表現されたのがこのワンシーンですね。
もっとも繭のこの言葉は、1話時点のザ・安定志向男・羽村としては、内心「……?」と首をひねる程度にはよくわからない台詞だったことでしょう。
そんな羽村の内面の変化も本作の見どころの一つ。一人の人間の人としての在り方を大きく変えた繭はやはり魔性の女といっていいんじゃないでしょうか。
②ドラマ「高校教師」第3話「人間には3つの顔がある」by 羽村
「人間には3つの顔がある。ひとつは自分の知る自分、
ドラマ『高校教師』3話
ふたつ目は他人が知る自分。もうひとつは、本当の自分」
「ホントの自分はどうしたらわかるの?」
「さぁ…きっと、自分が何もかも失った時にわかるのかも」
「じゃあ知らない方が幸せね」
「そうかもしれないな」
「人間には3つの顔がある」。
これは個人的に本作においてもっとも強く印象に残っている言葉です。話題になった電車の例のラストシーンにて、羽村のモノローグにもこのフレーズが出てきますし、このドラマの核心に迫る表現といってもいいんじゃないでしょうか。
しかしながらこの会話を交わした第3話時点では、おそらく繭、羽村ともに「本当の自分」を知りたいとは思っていなかったでしょう。
その点、本作はある意味ではメイン2人の恋愛というより、人間的成長により焦点をあてた作品といえるのかもしれません。
③ドラマ「高校教師」第4話「生き物はみな本質的に孤独なんだ」by 羽村
「全ての遺伝子が利己的であるという説が正しければ、生き物はみな本質的に孤独なんだ
ドラマ「高校教師」第4話
こうして集う水鳥たちも、人間だって、一人ぼっちなんだ」
本作第4話にて、繭とともに訪れた動物園で羽村が初めて自分の弱さを全面的にさらけ出したシーン。
これは、羽村が研究者としてのキャリアや未来、そして心に描いていたささやかな幸せまで一度に失ってしまった直後のことでした。いち教師といち生徒であるという前提を捨ておき、2人が人と人として初めて正面から向き合ったシーンでもあったのかもしれません。
4話のサブタイトルは『僕のために泣いてくれた』でしたが、タイトル通り、人目もはばからず涙する羽村のそばで何も聞かずいっしょに涙を流していた繭の姿が印象的でした。
このシーンで1話の例の台詞「あたしが全部守ってあげる」を思い出した人も多いのではないでしょうか。
「生き物は皆孤独なのだ」という真実を突きつけられた羽村。彼に寄りそいながら水鳥の群れを眺める繭、そしてBGMの『男のくせに泣いてくれた』(森田童子楽曲)はまさに圧巻。繭の母性が特に際立ったワンシーンといえるでしょう。
④ドラマ「高校教師」第5話「ほんとのあたしを知っても、嫌いにならないでね」by 繭
「他人が知ってる自分、自分が知ってる自分…。
ドラマ「高校教師」第5話
ほんとのあたしを知っても、嫌いにならないでね」
本作第5話『衝撃の一夜』にて、羽村に対する繭の懇願。第3話の「人間には3つの顔がある」という言葉を受けての台詞ではありますが、同時にこの物語の大きなテーマが凝縮されたひと言でもあります。
繭のいう「本当の自分」とははたして何をさすのか。第5話にて2人は一線を越えますが、それでもなおストーリーの核心に迫る表現は出てきません。この絶妙な魅せ方もまた、本作の見どころの一つといえそうです。
⑤ドラマ「高校教師」第7話「あたし…死にたくない」by 繭
「あたし…死にたくない」
ドラマ「高校教師」第7話
「……」
「死にたくない。死にたくない…」
羽村に突き放され、傷心の繭を唯一受け入れてくれた女性・あゆみの死。事情聴取後、かけつけた羽村にとりすがりながら涙を流す繭が口にした言葉です。
本作のストーリーには恋愛や友情などの俗的要素のほか、人が生きること、そして死んでいくことといった大きなテーマが多分に含まれています。
ヒロイン・繭のこの言葉にどのような意味が含まれているか、この時点での羽村はまだ知らないわけですが、それでも何かしら感じるところはあったでしょう。
⑦ドラマ「高校教師」第9話「いつか君と僕は同じ一線で結ばれた優しい放浪者だった」by 羽村
「いつか君と僕は同じ一線で結ばれた優しい放浪者だった」
ドラマ「高校教師」第9話
ドラマ『高校教師』最終話にて、空港で繭の父親を刺した羽村のモノローグ。この台詞は、本作の主題歌を歌う森田童子さんのライブの際の語り(※楽曲『さよならぼくのともだち』)を彷彿とさせます。
森田童子さんの楽曲では「死別」、もしくは「心理的・精神的な別離」が独特の表現で精彩に描写されていることが多いですが、その雰囲気はまさに本作のストーリー展開に通じる部分も多いんですよね。
ちなみに楽曲『さよならぼくのともだち』はドラマには登場しませんが、ガチ名曲なのでぜひ本作とあわせて聴いてもらいたいなと思います。
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