1993年放送のTBSドラマ『高校教師』は、真田広之演じる生物教師と桜井幸子演じる女子生徒のあいだに生じる禁断の愛を描いたストーリー。脚本は野島伸司。
ただ、その特殊な設定や表現・展開に『気持ち悪い』など賛否両論の意見もみられます。
今回は真田広之と桜井幸子の主演ドラマ『高校教師』第6話『別れのバレンタイン』のあらすじとネタバレ感想・考察について。
真田広之・桜井幸子主演ドラマ『高校教師』7話のあらすじ
夜の街を遊び歩く繭・妊娠が発覚した直子
前話『別れのバレンタイン』にて、羽村と繭の距離は急激に離れてしまった。捨て鉢な感情を抱えたままの繭は、やがてタガが外れたように夜の街を遊び歩くようになる。一方の羽村も、繭への想いを胸に秘めたまま悶々とする日々を過ごしていた。
あのときの自分の気持ちは今でもよく覚えている…
羽村モノローグより
ただ残ったものといえば君にもらったキーホルダーと
救いようのない喪失感だけだった
夜な夜なタチの悪い仲間とつるむ繭。ある時、誘われるままアパートの一室についていき、そのまま襲われそうになってしまう。が、間一髪のところで亜弓という女性(広田レオナ)に助けられる。
そして、大きな変化があったのは繭の親友・直子(持田真樹)。体育の授業中に倒れ、運ばれた病院で妊娠が発覚する。
「聞いた?ここ、赤ちゃんいるんだって」
「……」
「退学かなぁ、あたし…」
あくまで明るくふるまう直子に、周囲は何も言えない。しかし堕胎のために病院に向かった帰り、付き添ってくれた新庄に相手は誰だったのかと聞かれ、泣き出してしまう。藤村とのことは、他の誰にも打ち明けることはできなかった。
風俗嬢・亜弓の家に入り浸る繭
襲われそうになったところを、風俗嬢をしている亜弓という女性に助けられた繭。後日、バスの中で偶然 亜弓の姿を見つけた繭はそっと後をつける。気後れして声をかけることはできなかったが、繭の姿をみとめた亜弓のほうが彼女に声をかけた。
「ねえ、ちょっとあんた…」
「……」
「このあいだの子?」
亜弓は、一度会っただけの繭の顔を覚えていた。
羽村との距離は遠のき、家にいても父親とはうまくいかない。繭はしだいに、亜弓の家に入り浸るようになっていった。
「あんた、ちゃんと学校行ってる?まあ、あたしが言うのもなんだよね…親も呆れて見放してるからね」
「……」
「こないだあんたをまわそうとした奴いたでしょ…あいつ、あたしの彼氏なのよ。前はあんなじゃなかったのよ。お互い田舎から出てきて、やりたいこともいっぱいあってさあ…」
寂しげな亜弓は、今日が誕生日なのだという。冷蔵庫から出してきたケーキにろうそくを立て、繭は一人バースデーソングを歌った。
「おめでとう」
「……」
出会って日の浅い自分のために歌を歌い、笑顔で祝ってくれる年下の少女の姿に亜弓は何を思ったのか。繭が布団に入った後も、亜弓は一人カレンダーの数字を見つめていた。
亜弓の死
翌朝、繭は目を覚ましたが、傍にいたはずの亜弓の姿がなかった。風呂場からはシャワーの音が響いていた。
シャワーを浴びているのだろうか…繭は思ったが、何か悪い予感がしてそっと風呂場のドアをひらく。亜弓は、湯船に沈んだまま命を絶っていた。
「あたし、死にたくない」
亜弓の件について、警察で事情聴取を受ける繭。彼女は引き取り人として、担任ではなく羽村を指名した。
「今日はもう帰って休んだほうがいいよ」
「迷惑かけてごめんなさい」
聞き取りを終え、警察署を出て羽村と歩く繭。気丈にふるまっていたが、急に吐き気を覚え道端に座り込んでしまう。「大丈夫か」駆け寄る羽村に、繭はただ一言告げた。
「あたし、死にたくない」
「……」
「死にたくない」
羽村は何も言わず、ただ繭の身体を抱きしめていた。
ドラマ『高校教師』7話「狂った果実」ネタバレ感想と考察
『高校教師』という作品を全編通してみたときに、第7話「狂った果実」は実はかなり重要な回ではないかと思うのです。…主にヒロイン・繭の心情や精神状態をふまえると。
第7話にしていくぶん唐突に登場した亜弓という女性ですが、本編をよくみていくと彼女がいきなりストーリーに絡んできた理由がとてもよくわかります。つまり現在の亜弓の姿は、羽村を完全に失い、愛情を忘れて生きていった場合の繭の未来の姿なのでしょう。
繭自身もおそらく、亜弓と向き合う中でそのことは薄々感じ取っていたはずです。だからこそ亜弓が実際に命を絶ってしまった途端、あれほどまでの恐怖に襲われた。そしてラストの台詞「あたし死にたくない」の一言で、初めて羽村に本心を打ち明けることができたわけです。
次回8話は『隠された絆』。ついに本作の根幹ともいえる繭の秘密に迫っていきます。
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1993年ドラマ『高校教師』ネタバレ考察 ヒロイン・繭は父親と共依存の関係にあったのか?