【暁のヨナ考察】メイニャンを苦しめたモラハラ男チャゴルにはぜひ生きていてほしかった

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エンタメ

白泉社が発行する漫画雑誌【花とゆめ】にて連載中の少女漫画【暁のヨナ】。アニメ化や舞台化、さらにはヨナカフェなどさまざまな関連イベントも開催されており、メディアミックス作品としても注目を集めています。

今回は、『暁のヨナ』の最新42話にて非業の死を遂げたキャラクター・チャゴル、そして彼に散々苦しめられ続けてきた準ヒロイン・メイニャンについて。

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チャゴルとメイニャンの関係性をあらためて考える

改めて”少女漫画の登場人物である”という観点からチャゴルというキャラクターを見つめ直したときに、やはり非常に”分かりやすい”人間性を持った人物だなあと思わざるを得ないのですよね。

『暁のヨナ』は、基本的にメインキャラクターたちが”本音を言わず多くの場面で建前を掲げている”作品であると私は常々思っていて。

現に最新話253話にいたるまで、黄龍ゼノは自身の”願い”を仲間であるヨナ・ハクに告げていませんでした。まあ告げられなかった理由についてはそれなりに察せられる部分もありますが、それでも”四龍の命が尽きかける”あの局面において初めて、ゼノの言葉でヨナに、ひいては読者サイドに残酷な事実を告げるというのはやっぱりすごい”魅せ方”だなと。

このように本音を言わない(言わせない)キャラクターの姿が目立つ中、チャゴルの在り様はきわめてシンプルです。弱者をいびる。立場や権力にものを言わせて誰かを陥れる。信頼してついて来ようとする臣下すら、さらにどん底へと突き落とす。

ファンタジーならいざ知らず、こういう人間、実際は結構ふつうに現代社会にいるんだよなあと思えてなりません。いわゆるモラハラ野郎とか呼ばれる人種ですが、こういう人は生身の相手を直視しようとせず、ひたすら自分の理想の鋳型に相手を当てはめようとするんですね。

相手がどれだけその要望に添おうとしていても関係がない。ただ、自分にとって最適の「都合のいい人外」を求めているだけ。

だとすればメイニャンも紛れもなくその一人。女でありながら将軍職に就きバリバリやっている姿、女性は弱く媚びるものだと考えていたであろうチャゴルにとってはまさに「人外」的な存在であったのでしょう。そして結果、彼女を側室にし、”自分自身の幸せを望むことはわがままなのだ”と本能的に思わせた。

しかしながら立場を利用しスウォンに会うためという下心のあったとはいえ、メイニャンもチャゴルの要望にできるかぎり応えてやるという意思があったはず。それはチャゴルのためではなく、おそらくは己のプライドを満たすため。”自分ならできるはず”。これはまさしく、生まれつき能力の高い人間が陥りやすい悪的思考と言えますね。

結果、メイニャンとチャゴルの関係性は単なるモラハラ被害者と加害者、この一言に尽きるんだろうなと思うのです。

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チャゴルの死はストーリー展開的に早すぎた? 

いかにもラスボス的風貌・言動・行動を作中にて徹底して見せつけてきたチャゴルですが、最新42巻にてあっさりと非業の死を迎えます。この展開について、…いや死ぬの早すぎん?…といった疑問や疑念、これはヨナファン界隈でもわりと目にします。

しかしそもそも『暁のヨナ』作中では、わりと戦闘シーンや殺伐とした展開が多い割に、”命を落とす”キャラクターが極端に少ないのです。もっと言えば、死というものの描写がとことん”控えられている”印象さえあります。

そんなの少女漫画なんだから当然じゃないかと思う人も多いのかもしれませんが、私はこの点について、実はもっと深い理由があるんじゃないのかなあと漠然と思っています。要は、いわゆるキャラクター性、みたいなものを形成することを追求して追求して煮詰めて煮詰まって、その結果なんじゃないのか、と。

作中において死に関する描写がどんと登場するだけで、その作品そのものに流れる空気感は大きく変化します。そして、キャラクター一人一人に明確な存在意義を与えようとするなら、その死一つ一つもまた有意義なものではなくてはならないはず。

では、チャゴルの死にはどのような意味があったのでしょうか。これはあくまで推測にすぎませんが、チャゴルのモラハラ気質をあれ以上掘り下げたところで、ヨナ本編には何の影響もないから、というのが理由であるような気がしています。

チャゴルのキャラクター性はあくまで、メイニャンという”準ヒロイン”の存在をより高潔に際立たせるためだったのではないでしょうか。

とはいえ、チャゴルがあのまま生き延びた展開があればぜひ見てみたいのになと個人的には思います。その場合、『暁のヨナ』においてあれだけ異色な、誤解を恐れず言うならば”意味のない”キャラクターを草凪先生はどんなふうに描写していったのか。何にしても、つくづく面白いキャラだよなあと思えてならないのです。

『暁のヨナ』感想考察一覧 | あねもね

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