1993年放送のTBSドラマ『高校教師』は、真田広之さん演じる生物教師と桜井幸子さん演じる女子生徒のあいだに生じる禁断の愛を描いたストーリー。脚本は野島伸司。ただ、その特殊な設定や表現・展開に『気持ち悪い』など賛否両論の意見もみられます。
今回は本作の第7話『狂った果実』に登場する女性・亜弓について。
1993年ドラマ『高校教師』に登場する女性・亜弓(あゆみ)とは
1993年放送のテレビドラマ『高校教師』にて広田レオナさんが演じる亜弓(あゆみ)は、第7話『狂った果実』に登場する女性キャラクター。ヒロイン・繭が男に襲われそうになったところを助けた。
以前はごく普通のOLをしていたが、幼なじみといっしょに東京に出てきてからは水商売をするようになったと語っている。羽村に突き放され行き場を失った繭が唯一、頼った人物でもあるが、繭が泊まりにきた夜、浴室で自ら命を絶ってしまう。
亜弓(あゆみ)が自死を選んだのはなぜなのか
『高校教師』という作品全体を客観的にみてみると、亜弓という女性はそれほど存在感のあるキャラクターではないかもしれません。第7話にしか登場しない上、メインキャラクターのうちではヒロイン・繭以外と絡んでいないため、当然といえば当然かもしれませんが。
亜弓は突然転がり込んできた繭を受け入れた上、ともに自身の誕生日を祝った直後に命を絶っています。なぜ自死を選んだのか。作中では「誕生日なのに幼なじみの彼氏がこなかったから」という端的な説明しかなされていません。
前述した通り、亜弓の登場はこの第7話のみ。そのため、この展開を少々唐突に感じる人も多いのではないかと思います。何より、OLから水商売へと転身しあらゆる世界をみてきたであろう亜弓が、誕生日に彼氏と会えなかったくらいで死を選ぶのは違和感があると感じる人も少なくはないでしょう。
ただ…人がこうした極端な道を選ぶときは案外、それくらいささいな出来事がきっかけである場合も多いのではないでしょうか。
亜弓の場合もおそらくは、この最後の誕生日の夜にいたるまでに長い長い”助走期間”があったはず。同じ思いで東京に出てきた彼が少しずつ変わっていく過程が、彼女にとって何よりつらかったのではないかと思われます。
日々傷ついて不安になっても、相手を受け入れるため我慢に我慢を重ねてきた終着地が、あの最悪な展開になってしまったということでしょう。そしてもし羽村と出会えていなければ、ヒロイン繭自身も亜弓と同じ、あるいは似たような道を辿っていた可能性がきわめて高いんじゃないかなと思います。
『高校教師』第7話は、他の回にくらべると繭と羽村の絡みが少ないため、少し毛色が違うように感じる人も多いかもしれませんね。が、細部をじっくりみていくと、繭が亜弓のように一人で死を選ばずにすんだ分岐点でもあるのかなと思います。そうした意味ではかなり重要な回といっていいでしょう。
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