1993年ドラマ『高校教師』ネタバレ考察| 繭が羽村に宛てた手紙をひも解く

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1993年放送のTBSドラマ『高校教師』は、真田広之演じる生物教師と桜井幸子演じる女子生徒のあいだに生じる禁断の愛を描いたストーリー。今回は、ドラマ『高校教師』第10話にて、繭が羽村に宛てて書いた手紙の内容をひも解きます。

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1993年ドラマ『高校教師』繭(桜井幸子)の手紙の内容は?

この繭の手紙については、ドラマ『高校教師』のDVDに付属のリーフレットに全文が載っているそう。多少ニュアンスが異なる部分もあるかもしれませんが、この記事ではあくまでドラマ内にて放送された部分のみをまとめています。

ヒロイン・繭と父母との関係

十四のとき、そう、十四のとき
あたしのお父さんはお父さんじゃなくなった。

不思議なことにそのときはとっても漠然としていて
ただおおきな波に押さえつけられているようで


少し息苦しいけど、それでもどこか自然な流れのようで
それがいつか、いつか不意にゆがんで見えて


お母さんが死ぬときに見せた
あたしに対する強い憎しみの目。

怖かった。とっても怖くて
それはそのままあたしのしていることの怖さに変わって

ドラマ『高校教師』より

まずは、繭が手紙の中で触れていた「父母との関係」について。繭の母親はすでに亡くなっているため、それまで劇中にて描写されていたのは父親とのいびつな関係ばかりでした。

ただ一度だけ、繭が羽村に対し「お母さんはあたしを憎んでいた」と打ち明けるシーンがありましたね。しかし羽村が「そんなことを言うもんじゃない」とさらっと流したこともあり、視聴者のほうも、もはやあまり記憶にないという人はきっと多かったはず。

が、父親との関係性が「十四のとき」に始まったという記述をふまえると、やはり繭の母親が彼女を憎んでいたというのは真実だったのでしょう。

こうした場合、母親が憎む対象は「夫」「父親」ではなく、同じ女である「娘」のほうであるケースも多いときいたことがあります。

繭自身も「怖かった」と感じながらも、大人ふたりの板挟み状態にあり、もはや子どもの力ではその状況から逃れることなどできなかったんじゃないかな。

「大きな波に押さえつけられ」の部分は非常に概念的ではありますが、だからこそかえってリアリティがあるように感じます。創作の世界では、加害者を「人ではないもの」に例える被害者はとても多いので。

父親と運命をともにする意思

あたし、先生と普通の恋がしたかった
普通に出会って、手を繋いでおしゃべりをして
時々は焼きもちも焼くの

春がきて、夏がきて、秋がきて
ちょっとずつちょっとずつ
二人の間に同じ雪が積もる冬がきて


カだねあたし
自分はちっとも普通じゃなかったのにね


あたしはお父さんと、あの人と遠くに行きます.
あの人は少なくともあたしが必要なの

ドラマ『高校教師』より
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父親を愛しているからではなく、”必要とされているから”いっしょに遠くへ行くという繭。

実の母から憎まれていたと自負する彼女にとっては、好きな人のそばにいることは、何らかの代償なしには許されないと感じるものだったのかもしれません。

羽村と「普通の恋」をすることは、「普通ではない」自分には許されないことである…。そう感じたからこそ、繭は余命いくばくもない父親と最期まで過ごす覚悟を決めたのでしょう。

ドラマ『高校教師』のテーマの一つ「孤独と寂しさ」

そう、いつも思ってたことがあるの
人がまわりにいないからじゃなくて
自分をわかってくれる人がいないから寂しくなるんだね


先生も時々寂しそうだったね
できればあたしがずっとそばにいたかったな


いつか先生に恋人ができたら
きっとあたしのことは忘れちゃうね
けどあたしは忘れないでもいい?


先生から聞いたペンギンの話や朝顔の話
忘れないでもいいよね

さよなら、さようなら
羽村先生

ドラマ『高校教師』より

本作のベースにはいつも、人間が根本的に抱える孤独感や寂しさがあったように思います。

繭の手紙の「人がまわりにいないからじゃなくて自分をわかってくれる人がいないから寂しくなる」の箇所は、まさにこのドラマ全体を集約したものだったのではないでしょうか。

繭が求めていた「愛情」とは、”特殊な自分”をまるごと受け入れてくれるか否かということ。彼女が羽村を選んだのは、単に好きだったからというだけでなく、彼が「同類」だったからでもあるのかもしれません。

ドラマ『高校教師』本編のネタバレ感想

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