白泉社が発行する漫画雑誌【花とゆめ】にて連載中の少女漫画『暁のヨナ』。
アニメ化や舞台化、さらにはヨナカフェなどさまざまな関連イベントも開催されており、メディアミックス作品としても注目を集めています。今回は漫画【暁のヨナ】最新262巻(45巻収録)のネタバレ感想・考察について。
【暁のヨナ】最新262話(45巻)のネタバレ感想・考察
ハクヨナ×スウォン、不動の絆
今回は、ハクの内面描写がいつになくわかりやすかったように思います。特にスウォンに対する言動、行動に関しては、過去シーンと酷似した部分もかなりあったため若干のデジャヴを覚えた読者も多かったのではないでしょうか。
ヨナが消えたと認識してすぐ、スウォンに再会するなり「姫さんが消えた」と不安感丸出しにつかみかかり、対するスウォンの「ヨナもゼノさんも無事です(確証なし)」の言葉にはっきり安心した様子をみせたハク。
「お前の知性だけはどうしても信じてる」という言葉通り、刷り込みに近い絶対的な信頼があるわけですね。さらにこのシーン、幼少期にお忍びで出かけた城下町でさらわれたヨナを2人で探す場面にやたら重なるのはおそらく気のせいではないでしょう。
スウォンの言葉「釣り合いが取れない」
そして、262話にてもっとも印象的だったのは、スウォンがハクに打ち明けた言葉「これでは釣り合いが取れない」。緋の病に侵されたスウォンを献身的に助けたヨナ、そして命を懸けても千樹草を届けたハクに対し、自分はただ傷つけてきただけだ……という自嘲の言葉でした。
これまでモノローグでさえほぼ語られてこなかったスウォンの内面がここまで精彩に描写されるのは、作中にて初なんじゃないでしょうか。
国王弑逆、そして城からの追放。してきたことを考えれば釣り合いも何もないわけですが、そもそも当初はヨナや四龍の力を利用する気などなかったスウォンからすれば、現状はかなり想定と外れた形にあるのでしょう。
しかしながら、”釣り合い”つまりギブアンドテイクを気にする潔癖さがいまだ残っているあたり、スウォンはやはりユホンに近い「為政者」にはなりきれていないわけです。あるいはハクヨナの行動に絆された部分も大きいのかもしれませんが。
とりあえずここで「今さら何だよ」と返さなかったハクは本当にえらいと思う。読者サイドからみれば、この場面では正直、スウォンが若干キャラブレしているように感じるんですよね。
病とケガの影響なのか、もしくは急に太陽が消え城が崩壊しつつある自国を目のあたりにして多少感傷的になっているのかもしれませんが、いずれにしてもこんなにベラベラと本音を漏らすようなキャラではなかったはず。
かなり”らしくない”スウォンを前に、同調して感情的になるわけでもなくちょっと怖いくらい冷静にスウォンをみているハク。この場面、じっくり腹を割って話し合っているようにみえますが、実際はちょっとずつすれ違っているんじゃないかなあと思うのです。
青龍シンアの怒り
そして、今回まさかのスウォン視点から描かれた青龍シンアの”怒り”。あるキャラクターの内面について、直接的な絡みのないキャラクターの視点から時差つきで描かれるのは、本作において結構めずらしいような気がします。
龍になったシンアの目前にぼうっとした表情のスウォンが薄着のままふらっと出ていくあの場面、たしかに少々危うい印象はありましたよね。龍の力に対する人間の非力さの演出なのだろうと思っていましたが、今思えばスウォン側の危うさも多分にあったのではないでしょうか。
罪だの罰だのと今さら言いだすスウォン、そしてそれをいなしつつも「最優先はヨナ&四龍」であると明確に理解しているハク。今さらながらこの2人の描写はビジュアル、性格含めまるで合わせ鏡のようでとことん見ごたえがありますね。続く展開にも注目です。
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