白泉社が発行する漫画雑誌【花とゆめ】にて連載中の少女漫画『暁のヨナ』。
アニメ化や舞台化、さらにはヨナカフェなどさまざまな関連イベントも開催されており、メディアミックス作品としても注目を集めています。
今回は漫画【暁のヨナ】の254話(44巻収録)『もう会えないとしたら』のネタバレ感想と考察について。
『暁のヨナ』254話(44巻)「もう会えないとしたら』のネタバレ感想・考察
この記事では本編あらすじの詳細な文章化はしておりません。
ネタバレ要素はありますのでご注意ください。
『暁のヨナ』は決してロープレではない
最新254話を読んでまず感じたことは、『暁のヨナ』という作品はやはりヒロイン含む数多の登場人物の成長を描き出すロールプレイングみの強い物語ではなく、どちらかといえば”喪失”を意識して描かれたものなんじゃないのかな、ということでした。
実際、ヒロイン・ヨナの人生はある種の「喪失」を起点として動き出し、新たに道がひらけている印象があります。
初めの喪失は母親であるカシ様の死(暗殺)。言うまでもなく悲しい出来事ではありますが、この喪失とひきかえにヨナは、そばにいて寄り添ってくれる兄貴分・ハクとスウォンという存在を手に入れます。
そして第2の喪失は、父イル王の死(またしても暗殺)。この際、彼女はころされた父親のみならず、自らを裏切り父を殺した従兄・スウォンの存在も失っています。父親とスウォン、この二人を失った彼女が新たに得たものは、頼れる味方である四龍とユンという存在でした。
そして今回、四龍を(少なくとも表面上は)失った彼女が新たに手に入れるものははたして何なのか…。ここからエンディングにかけて描かれていくのは、おそらくそういった部分なのだろうと思います。
何より第1話同様、ハクとヨナ2人だけが残されたことを読者サイドに強く印象付けるような今回の描き方、展開はさすが草凪先生らしい魅せ方だなあと。
しかし1話とは違い、ヨナの意識は四龍を失った自身の悲しみより、ハクの身を案ずる方向に強く向いています。この点はとにかくわかりやすかったですし、ここまでハクに”守られて”生きながらえてきた彼女が今後はハクを守る方向へ向かうことの暗示なのかなと思いました。今後の描かれ方にもいっそう注目していきたいところですね。
そもそもゼノの願いは前話253話にて本当に叶ったのか?
そして問題は、前話253話にて龍の姿に変わり飛び去っていった黄龍・ゼノの存在です。最新254話ではなぜかこれでもかというほど極端に”悪役”風に描かれている点が気になりますし、これまた面白い魅せ方だなあと感じた人は少なくないでしょう。これも確実にある種のミスリードと言えそうですね。
ただ個人的に気になるのは、黄龍のほか三龍の命が尽きたからといって、ゼノの願いが叶うという保証は実はどこにもないのでは?ということです。
そもそも四龍とはもともと、緋龍の身を案じた天の神が緋龍のためにつかわした存在。そして、当の緋龍(ヨナ)はいまだ生きていて、戦の続く地上で闘い続ける運命にあるわけで。そんな中、いくらゼノ一人が神様にそむいてやると息まいたところで、そうそううまくいくはずはないんじゃないのかなと。
個人的には、ここからはヨナ&ハクの闘い、そしてゼノの闘いが並行して描かれていく形になり、それがある一点を境に再び交わっていくことになるのかなと予想しています。その一点とはもちろん、当の四龍の存在。
ハクの言葉通り、ここで完璧に縁が切れるというのはあまりにも興ざめな展開ですし、やはり四龍の運命は緋龍のそれとリンクしていないとストーリー的にも面白くないですしね。次回は255話(44巻)。楽しみに待ちましょう。
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