1993年放送のTBSドラマ『高校教師』は、真田広之さん演じる生物教師と桜井幸子さん演じる女子生徒のあいだに生じる禁断の愛を描いたストーリー。脚本は野島伸司。ただ、その特殊な設定や表現・展開に『気持ち悪い』など賛否両論の意見もみられます。
今回は本作のヒロイン・繭と父親の関係性についてあらためて考察してみました。
ドラマ『高校教師』のヒロイン・繭と父親の関係性について
※本記事の内容はネタバレを含みます
本作のヒロイン・繭は父親(峰岸徹)と近親相姦の関係にあった。
繭の母親は早くに亡くなっており、周囲に頼る人もいなかったため、繭は長らくその状態に甘んじていた。また母親の存命時は、自分が父親と関係をもっていることで「恨まれている」と感じていたという (劇中の繭の台詞より)。
ドラマ『高校教師』のヒロイン・繭は父親と共依存の関係にあったのか?
ドラマ『高校教師』は、ストーリー内容にセクハラやパワハラ、強姦など過激な要素が多く含まれていることで知られています。放送当時は社会現象とよばれるほど話題になりましたし、ラストシーンについてあらゆる説を唱える人も多かったとか。
そのいち要素として、ヒロイン・繭と彼女の父親(峰岸徹)が近親相姦の関係にあったことが挙げられます。
繭は父親に虐待されていたと解釈する人も多いようですね。もちろんそれは正しいのですが、劇中の表現描写や繭自身の台詞からすると、彼女はすでに父親から逃れよう、逃げようとする気力すらうしなっていたのではないかと思われます。
これはおそらく、一種の共依存のような状態といっていいでしょう。劇中において、繭と父親の関係が明らかになったのは第8話『隠された絆』のラストシーン。
>>>ドラマ『高校教師』第8話「隠された絆」あらすじとネタバレ感想
その際、繭を想う羽村は彼女を父親から引き離そうとしますが、繭は父親を気にかけ続け、最終的には羽村のもとを去って彼のもとへと戻っています。
繭の一連の言動・行動は、家庭内暴力を受けつづけて思考力が低下し、そのままその相手に依存してしまう被害者そのものだといえるでしょう。
また本作について、過激シーンがあると聞いてどんなものかと期待する人もいるようですが、羽村と繭のシーンにしても、また繭と父親のシーンにしても少しも”エロく”はないんですよね。
どちらかといえば、ヒロイン・繭の抱える哀しさやあきらめを感じます。これはあるいは、多くの場面にてBGMとして流れている森田童子楽曲の効果も大きいのかもしれませんが。
終盤にて羽村は繭に、つらい現実から目をそらすために自分と寝たのではないかと糾弾しますが、これはある意味では真実だったといえるのかもしれません。
それでもやはり、繭にとっては他の誰でもなく羽村ではなくてはならなかった…というところもまた、本作の見どころの一つではないでしょうか。
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