白泉社が発行する漫画雑誌【花とゆめ】にて連載中の少女漫画『暁のヨナ』。
アニメ化や舞台化、さらにはヨナカフェなどさまざまな関連イベントも開催されており、メディアミックス作品としても注目を集めています。
今回は漫画『暁のヨナ』1巻における最大の謎【スウォンがイルを殺害した理由】についてゆるく考察してみました。
スウォンはなぜあのタイミングでイル王を殺害したのか?
『暁のヨナ』は少女漫画カテゴリーであるという名目上、やはり姫&従者の主従ラブ要素を前面に押し出した形で売り出されているように思います。「中華ファンタジーラブロマンス」的なフレーズ、本屋さんのポップなんかでも結構よくみますよね。
が、物語を深く読んでいくとストーリーの根底には本作の重要部分をにぎる”ミステリー要素”がかなり巧妙に隠されているような気がしています。その最たる部分が第1巻、メインキャラ・スウォンのイル弑逆の件。
ヒロイン・ヨナの16歳の誕生日当日に、彼女の誕生日を祝いつつ、並行して彼女の父であり現王たるイルを暗殺する…。
非常に残酷かつ非人道的な行為に思えますが、実際はわりと筋の通ったことなのかなと。作中にてイル王は、16歳を迎えたヨナの結婚相手を見つけなくては、ただしスウォンはダメだという趣旨の発言をしています。
ヨナと結婚するということはすなわち、現王イルの後継者になるということ。つまり、真逆の機会をこれ以上先延ばしにしていれば、スウォンはイルのほか、ヨナの婚約者として発表されたその後継者まで暗殺しなければならなくなります。
わざわざヨナの誕生祝いにまぎれて暗殺を決行したもう一つ理由はおそらく、祝いの喧騒にまぎれでもしなければ大勢の兵をひきつれて城周辺にしのびこむのは難しかったためでしょうね。
…と、ここまでは良いのですが、肝心なのはこの一連の出来事に関係する人物全員の”動機”部分。ここが気になっているヨナ読者さん、実は結構多いのではないでしょうか。
スウォンはハクとヨナをどうする気だったのか?
ここまでの流れだと優しい従兄弟だったスウォンが実は激ヤバサイコ野郎だった…的な原作の最初の魅せ方をそのまま文章化しただけになってしまいますが、個人的にはスウォンはそこまで非情な人物でもないんだろうなと思っています。
どちらかといえば、効率のみを優先する真面目人間が変な方向に舵を振り過ぎてもう後に引けない状態に陥ってしまっている…みたいな感じなのかなと。
作中にてスウォン自身が、自分は玉座に座りたいのではなくこの国を守りたいのだといった発言を幾度もしていますが、外野から冷静にみれば、いやむしろ本当にそれだけなら他にやり方あっただろ?と言われても仕方ない状況なんですよね。
千年に一度の武人と謳われるほどの人物・ハクの力を誰より知っていて入れ込んでいたのは、他でもないスウォン本人だったはず。それを、強靭な忍耐力と不屈の努力をともなって見殺しにしたというのであればやはりどこかズレている気がするし、うわコスパ悪いな…というのが正直なところです。
さらには一度は城から追い出したヨナをなしくずし状態で再び迎え入れ、いろいろ解決しないままとりあえずは手を組んで戦に出陣…というのが最新刊にて描かれている現状なんですね。
不治の病抱えてるし、戦ヤバそうだからあわよくば四龍の力借りられればラッキーくらいの認識でやってるのであれば、もはや状況だけみればミステリーというよりホラーなんじゃね? と思わずにはいられません。なんといいますか、皆が皆建て前しか口にせず、誰一人本音を語っていないから結果としてこんなことになったのかなと思いますが。
上記の点は今後本編中で答え合わせがあるのかなあ。まあ気長にみていきたいと思います。