【薬屋のひとりごと】原作小説最新16巻(ヒーロー文庫) ネタバレ感想と考察| ようやくデレた猫猫からの”補充”に悶える

『薬屋のひとりごと』は、ライトノベル作家・日向夏さんによる人気ファンタジー小説。アニメ版やコミックスの人気も高まり、いまやメディアミックス作品として大人気。今回は、『薬屋のひとりごと』の原作小説16巻（ヒーロー文庫）のネタバレ感想と考察について。

『薬屋のひとりごと』原作最新16巻ネタバレ感想と考察

まず気になるのはやはり、主役ふたりの関係性の変化ですね！（この導入も、もはや毎度のお約束になりつつありますが……）。

本作もすでに16冊目、そして壬氏も猫猫もこの世界観においては十分な適齢期であることをふまえると、関係が急激に進んでも全くおかしくないのではなかろうかとひそかに心配（期待？）していたのですが、どうやら杞憂だったようです。

大変な状況にあるからといってベタベタに寄り添い合って甘すぎる空気になることもなく。かといって過去巻のように淡泊なやりとりだけで終わるわけでもなく。

恋愛模様に関しては、個人的にはこれくらいがいかにも「ザ・薬屋」という感じがしてちょうど良いバランスだったなあと思います。何より猫猫の積極性が適度に増しているのが良い！

猫猫から驚きのキラーワード連投。

「私にも補充が必要なようです」
「平民にでもなりませんか？」

……に対し、めちゃくちゃ心配そうに様子をうかがう壬氏さま。いやもっと浮かれても良いのよ…？　鉄の理性を持つ男はやはり違います。弱ってる女に付けこむ、とかそういう選択肢は念頭にないんですよね。

このあたりの描写をみるに、やはりここからは「仕事はできるがプライベートはダメダメな地位ある男性の面倒をいやいやみることになったヤレヤレ系ヒロイン」の図が徐々に覆っていく流れになるのだろうと思います。

「疲れた」から壬氏のもとで癒やされたいという思考が無理なく自然にできてきた猫猫。

おそらくこれまでの人生では、育ての親・羅門や緑青館の三姫に求めてきたものを、今後は壬氏に求めていくことになるのでしょう。

ただ、そうなるためには捨てなければならないものも、諦めなければならないことも当然ながらあるわけで。その気持ちが「平民にでもなりませんか」のひと言に零れてしまったんだろうなあと想像しています。

一方の壬氏ですが、ふだんと様子が違う猫猫への対応は満点だったように思います。

今までであれば、「どうした」「何があった」「俺にできることはあるか」的な台詞を自分の中に留めておくことができず、その結果、我にかえった猫猫に「壬氏さまのお手を煩わせるほどのことではございません」とツンツン対応されてべこべこに凹む……までがワンセットだったはず。

無用な台詞はぜんぶ封印して、とりあえず「観察」に留める大人壬氏さまがメロくて良き良き。このあたり、以前雀さんに言われたことをそのまま受け入れて実践しているのかもしれません。

何にしろ、やっぱり巻を重ねるごとに確実に「成長」されてるんだよなあ……。猫猫もそれをわかっているからこそ、「今の壬氏になら甘えても大丈夫」と無意識に理解しているのでしょう。

人の心の闇を掘り下げるような事例、エピソードが随所にちりばめられているのも本作の見どころのひとつ。

最新16巻においてそれが一番如実に現れていたのが「彭侯（ほうこう）」だったように思います。

一見、誰がみても「良い人」な克用。
彼の性格を一言で表すと「木霊」。やられたことはそのまま返す。目には目を、歯には歯を。

これは克用自身が決して悪人ではないからこそ、かえって質が悪いのかもしれません。

悪気がないから、反省も後悔も微塵もない。他人の傷みを鑑みない。

対する猫猫の言葉「克用の周りに善人だけが集まることを祈っとく」が、いかにも猫猫らしくてちょっとほっとしました。たとえどれだけ危うさを感じようと、他人を正そうとか何かしらの忠告を与えようとかそういう考え方は一切しないんですよね。

ただ、猫猫自身はあれで実は結構なお人よしですし、なんだかんだで他人を切り捨てられない人でもあります。そういう意味では、突き詰めれば克用とは正反対の人格といえるのかもしれません。

▼『薬屋のひとりごと』(ヒーロー文庫) 各巻ネタバレ感想と考察

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