『薬屋のひとりごと』は、ライトノベル作家・日向夏さんによる人気ファンタジー小説。原作小説(ヒーロー文庫)の第7巻では、医官付き官女という新たな役職にて活動を始めた猫猫の日常や壬氏からのプロポーズ、微妙な関係性の変化などが描かれます。今回は『薬屋のひとりごと』の原作小説7巻(ヒーロー文庫)のネタバレ感想と考察について。
『薬屋のひとりごと』7巻(ヒーロー文庫)あらすじ
前6巻にてようやく里樹妃との一件が片付いたものの、ヒロイン猫猫のもとには休む間もなく厄介ごとが舞い込んでくる。今回やってきた厄介ごとはまさかの「官女試験」。警戒しながらも半ば強制的に試験を受けた猫猫は、医官専属の官女という新たな立場にて活動を始めるのだが…。
新しい仕事に新しい同僚たち、そして壬氏からはまさかのプロポーズ。たび重なる面倒に見舞われる猫猫の気持ちとははたして…。激動の第7巻。
参考:『薬屋のひとりごと』7巻リリース
『薬屋のひとりごと』の原作小説7巻(ヒーロー文庫)のネタバレ感想と考察
「俺はおまえを妻にする!」壬氏のプロポーズの意図について
『薬屋のひとりごと』7巻にて注目すべき点はやはり、読者の予期せぬタイミングで唐突にぶっこまれたプロポーズでしょう。
「猫猫!よく聞いておけ!俺は、おまえを妻にする」
『薬屋のひとりごと』第7巻
「必ず納得するだけの状況にしてやる、覚悟していろ。おまえの恐れているような状況には絶対にしない」
…すごいね。少なくともこの時点の壬氏は「猫猫の恐れる状況」を回避できるという絶対的な自信は持ち得ないはずです。現皇帝がいまだ彼のことを”あきらめて”いないということをしっかりわかっていて、その上でこんな台詞がいえるのはやはり皇族ゆえなのか、あるいは単に売り言葉に買い言葉というやつなのか。
ただ、そんな壬氏と付き合いが浅くない猫猫からすれば、この展開は決して予想できなかったものではなかったはずなんですよ。
さらにいえば、猫猫自身も皇帝や玉葉妃らからきっちりマークされている身であることは間違いありません。そうした描写はこれまでも作中にて小出しにされてはいたけれど、やはり7巻にていきなり出てきた「官女試験」は、そのことを裏づける決定的な出来事といってもいいんじゃないでしょうか。
プロポーズ後も特に変わらない関係性の2人
立場だけをみればどう考えても優位なはずなのに、なぜか猫猫にだけは絶対に勝てない壬氏…というあり方が、『薬屋のひとりごと』という作品においてこれまで一貫して描かれてきた関係性でしたね。
今回のプロポーズによってこの関係性がどう変わっていくのか、それともまったく変わらないのかというところが、多くの読者が今後最も注目するポイントなのだろうと思います。
そして8巻、9巻と読み進めてもやっぱり変わらない関係にどひーなんだそりゃあ、もうやることやっちゃえよという野次がとぶ未来がすでにみえる。まあこの作品はそれでこそだなと思いますし、良い意味で”ライトノベルっぽい”なあと感じます。逆にそこが好きだという読者も決して少なくはないと思いますが。
ただ今回に関していえば、壬氏は猫猫からの「返答」など1ミリも求めていなかったように思います。だってあの勢いだけのプロポーズ、まさしく言い逃げもいいところなのでは?
こうしたファンタジー作品において、努力家で包容力のあるヒロインがメインヒーローのトラウマや傷を癒してめでたくハッピーエンドを迎えるという展開はよくみますが、壬氏と猫猫の関係性はそれとはちょっと違うんだろうなあという気がしています。
壬氏だけでなく、猫猫のほうにも幼少期のトラウマや傷はきっちりあるからね。ただ表に出していない(出し方を知らない?)だけで。
というわけでこのプロポーズが回収されるのはかなり先の展開になりそう。壬氏と猫猫の関係性に一石を投じるという意味ではやはりインパクトの強い一冊だったなと思いますね。
▼『薬屋のひとりごと』(ヒーロー文庫) 各巻ネタバレ感想と考察
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【薬屋のひとりごと】小説最新15巻(ヒーロー文庫) ネタバレ感想と考察 | 壬氏と猫猫の熟年夫婦感
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