【薬屋のひとりごと】原作小説12巻(ヒーロー文庫) ネタバレ感想と考察 | 壬氏と猫猫が両想いになったきっかけとは

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『薬屋のひとりごと』は、ライトノベル作家・日向夏さんによるファンタジー小説。原作小説(ヒーロー文庫)の第12巻では、西都にてまたしても惨事に巻き込まれた猫猫、そして雀の真実が並行して描かれていきます。今回は、『薬屋のひとりごと』の原作小説12巻(ヒーロー文庫)のネタバレ感想と考察について。

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『薬屋のひとりごと』の原作小説12巻(ヒーロー文庫)のネタバレ感想と考察

『薬屋のひとりごと』12巻あらすじ

この記事は、内容の詳細には触れない軽いネタバレ要素を含みます。未読の方はご注意ください。

前11巻にて、玉鶯の暗殺により西都の政務を執る人間がいなくなった。いやいやながらに西都の一切を取り仕切ることとなった壬氏。猫猫は、心身ともに疲弊する壬氏を気遣いながら、怪我人や病人を診る日々を送っていた。

やがて壬氏は、領主代行だった玉鶯の息子たちを、西都のために後継者として政治を教え、育成してほしいと頼まれる。そして猫猫も否応なしに西都のお家騒動に巻き込まれてしまうことに。
そして、ついに雀の本当の顔も明かされることになる。はたして彼女の真の目的とは……?

出典:『薬屋のひとりごと』12巻リリース

雀の真実がようやく明らかに

『薬屋のひとりごと』原作12巻のピックアップは何といっても雀でしょう。壬氏にしたがい、常に猫猫の傍に付いていながらも、”腹のうちを明かさない人物”としてどこまでも”ミステリアス”に描かれ続けてきた雀でしたが、本書にてようやく彼女の真実が読者サイドにもはっきりと提示されています。

ヒロイン・猫猫は基本的に他人に興味を持たない淡白なキャラクターではありますが、それでも薬師という立場上、観察眼は人一倍優れているはず。そんな猫猫でさえ、これまで雀を天真爛漫で自由な人物としか見ていなかったわけです。

もちろん、何かしら腹に一物ある雰囲気は終始感じ取っていたでしょうが、それでもこれほどハードな過去を抱えていたとは思っていなかったでしょう。

親や生まれに恵まれなかったという点では、猫猫と雀はきわめて似た境遇にあります。が、猫猫の場合は親身になってくれる小姐たちや羅門の存在がありましたね。一方の雀には財産も後ろ盾も何ひとつなかった。そのぶん、窮地をくぐりぬける生命力を身につけざるを得なかったというわけですよね。

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壬氏の傍にいる以上、猫猫もまた、この先別の危険に巻き込まれる可能性は大いにあります。さらには彼女自身が何と言おうと「羅の姫」という立ち位置にある事実は変わりません。

”姫”であるからには優れた”付き人”が必要不可欠。雀というこれまでいなかったタイプのキャラクターが9巻にて唐突に登場したのは、やはり猫猫の”付き人”としての意味合いも強いのでしょう。その脇役的キャラクターにもこれほど濃厚な過去設定が与えられているのはやっぱりすごいなと。

こうした設定一つひとつの詳細さ、舞台背景の精彩さが『薬屋のひとりごと』全体の世界観の奥深さにつながっているような気がしますね。

壬氏と猫猫が両想いになったきっかけとは

猫猫は壬氏のどこに惹かれたのか?

今回、猫猫が壬氏に向ける想いの深さが12巻目にして初めて、作中にて非常に丁寧に描かれていたように思います。そのきっかけが命の恩人である雀の言葉だった、という点も胸アツですよね。

思えば初期のころは壬氏に対し蛞蝓(なめくじ)でも見るような冷えた視線を向けていた猫猫ですが、それがいまや「これほど安堵を感じられる人物はそうはいない」との高評価に様変わりしています。

異性に求める要素や条件なんて人それぞれではありますが、それでも猫猫の場合、やはりちょっと特殊なのかなあと。”安心感”や”信頼感”を重視する彼女は、自分の身を削って働き続ける壬氏を、育ての親・羅門に重ね合わせている部分も大きいのでしょう。

単なる恋愛感情というより、”放っておけない”と心配する感情が先にきてしまうあたり、猫猫はやはり自身で思っている以上に”母性的”な面が強いのでしょうね。そして壬氏に向ける心配はもはや薬師としてではなく、猫猫個人の感情となってしまっているはず。

猫猫の言葉を借りるなら”ぬるま湯のような温度”とのことですが、壬氏はむしろそれを求めているのではないでしょうか。表面的には大きな進展はないものの、メインキャラそれぞれの内面が精彩に描かれていて非常に読み応えのある一冊でした。

『薬屋のひとりごと』(ヒーロー文庫) 各巻ネタバレ感想と考察

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