【羊文学】は塩塚モエカ(Vo, Gt)、河西ゆりか(Ba)、フクダヒロア(Dr)の3人からなるロックバンド。
バンド名の通り、文学的で”エモい”歌詞が魅力的で、その独特の空気感に惹かれる人は多い。また、独自の世界観をもつゆえに「きのこ帝国やくるりに似ている?」という声も多数。
今回はロックバンド・羊文学のおすすめの人気曲5選について、歌詞に注目しつつご紹介。
羊文学のおすすめ楽曲5選
①あいまいでいいよ
羊文学の【あいまいでいいよ】は、メジャーデビューアルバム『POWERS』収録楽曲。曲タイトル通り、”あいまい”な関係性の恋人たちの姿にみる「もどかしさ」を歌っている。
あいまいでいいよ
羊文学【あいまいでいいよ】
本当のことは後回しで忘れちゃおうよ
夢のようだ
恋愛を歌った曲で「あいまいなままでは嫌だ」という内容の歌詞はよく見る気がするが、あいまいさを完全に「肯定」する楽曲は実は結構珍しいように思う。
「あいまいでいい」と何度もくりかえして、あくまでのんびり構えている感じにどことなくお洒落な空気感が満ちていて、個人的にとても好きな一曲。
歌詞に出てくる『くたびれきったベランダ』や『微温いコーヒー』などの表現が、なんとなく村上春樹の小説っぽいなあと時おり思う。この独特のこじゃれた空気感、海外の小説が好きな人にはかなりハマるんじゃないだろうか。
②マヨイガ
羊文学の【マヨイガ】は、アニメ映画【岬のマヨイガ】の主題歌として書き下ろされた一曲。作詞作曲は塩塚モエカ。
過去インタビューなどで、【マヨイガ】は【岬のマヨイガ】の登場人物たちに手紙を書くようなつもりで制作した、と語っている。
そのためか、歌詞の中には誰かに対して明確に語りかけるような表現が多い。
そうして君はありあまる夢を 世界を愛してください
羊文学【マヨイガ】
君の今 君のすべてが喜びで溢れますように
羊文学は、目の前にある物事を否定も肯定もせずにあるがまま受け入れるという、どこかひょうひょうとした世界観を作り出すバンドだ。
だから、こんなふうに誰かを優しく包み込むようなストレートな歌詞は、羊文学としては実はちょっと珍しい。歌詞の通り、聴いていて優しさと至上の安心感を得られる一曲。
③光るとき
羊文学の【光るとき】は、テレビアニメ【平家物語】のテーマ曲として書き下ろされた一曲。
【平家物語】の内容に沿って書かれたためか、歌詞の中にはいま目に見えている世界を全力で肯定するようなプラスの表現が目立つ。そういう意味では【マヨイガ】同様、”羊文学っぽくない”一曲と言えるかもしれない。
何回だって言うよ 世界は美しいよ
羊文学【光るとき】
いつか巡ってまた会おうよ
いつか笑ってまた会おうよ
羊文学が作り出す、”生きることを肯定する”明るい楽曲、個人的にはかなり好きだ。
生きることをただがむしゃらに肯定するだけでなく、きちんとその根拠を示してくれるような実直な感じが胸にしみる。この論理的な感じ、文学好きな人にはやっぱり刺さりやすいんじゃないかなあと思う。飾らない優しさと強さを感じられる一曲。
④1999
羊文学の【1999】は、クリスマスソングとして作られた一曲。しかし歌詞をよくみていくと、クリスマスソングらしくない”不穏さ”が言葉の端々に滲んでいる。
それは世紀末のクリスマスイブ
羊文学【1999】
僕が愛していたあのひとを
知らない神様が変えてしまった どうしてよ
クリスマスの歌だというのに絶妙な”不穏さ””不安さ”をリスナーにじわじわ与えてくるこの感じ、まさに”羊文学み”が強くて、聴いているといい意味で背筋がゾクゾクする。
歌詞の中に不安定かつ不定形な世界がぼうっと広がっているこの感じ、イヤミス(もやもやする終わり方のミステリー)が好きな人には結構ハマるんじゃないだろうか。
⑤白河夜船
羊文学の【白河夜船】は、誰かを想い続けて少し病みかけている女性のリアルな心情を描いた一曲。
よしもとばななの同名小説【白河夜船】をイメージして書かれた楽曲としても知られる。
嘘は尽かない 笑わない 心は持たない
羊文学【白河夜船】
今宵も静かに息をしています
今日も朝から晩まで眠り続けます
つらい現実から一時でも逃れたいあまり、眠りの世界に逃げてしまう。
そして、眠りの世界と現実のさかいめがどんどん分からなくなってしまう。
【白河夜船】(小説・映画)の世界観が好きな人にはぜひ聴いてほしい一曲。
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