【羊文学】は塩塚モエカ(Vo, Gt)、河西ゆりか(Ba)、フクダヒロア(Dr)の3人からなるロックバンド。バンド名の通り、文学的で”エモい”歌詞が魅力的で、その独特の空気感に惹かれる人は多い。
今回はロックバンド・羊文学の楽曲【光るとき】について、歌詞に注目しつつご紹介。
羊文学【光るとき】概要
羊文学【光るとき】は、2022年リリースのアルバム【our hope】収録曲。
テレビアニメ【平家物語】のOPテーマのためにVo.Gt,の塩塚モエカが書き下ろした一曲であり、羊文学らしい洗練された美しい歌詞と独特の歌声が注目された。
羊文学【光るとき】歌詞の意味・解釈
羊文学【光るとき】の歌詞をじっくりとみていくと、ある一つの主張が言葉や表現を変えて、切々と訴えるようにくり返されていることに気づくだろう。
君たちの足跡は進むたび変わっていくのに
羊文学【光るとき】
永遠に見えるものに 苦しんでばかりだね
最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても
今だけはここにあるよ
永遠なんてないとしたら
この最悪な時代もきっと続かないでしょう
歌詞など気に留めず、なんとなく聞き流しているうちは気がつかないかもしれない。けれど、小説を読む時のようにじっくり考えながら歌詞を見ていくとはっきり分かる。
【光るとき】の歌詞の中では【永遠】という2文字が全力で否定されている。
個人的なイメージだけども「永遠に続くこと」を肯定する楽曲はわりと多いように思う。
何があってもこの想いは決して変わらない。ずっとここにいる。いつまでもここにある。
そんなふうに永遠の愛情や友情を誓った楽曲は、たしかに誰かの心の支えになることはあるのだろうけれど、ある意味で”嘘っぽく”もあるのは否定できないだろう。
たいていの物事や人の気持ちなんて、わりと簡単に移り変わってしまう。絶対に変わらないからと何度も言っていた人の心だって、時には驚くほどあっさり変わってしまう。ある程度大人になれば、誰だって知っていることだ。
羊文学の【光るとき】の歌詞は、そういう意味ではものすごく”現実的”だと思う。
歌詞にありがちな”綺麗ごと”を一切言わず、「永遠」を否定し、その上「永遠なんてない」ということをむしろ一種の「救い」と捉えている。
<永遠なんてないとしたら この最悪な時代もきっと続かないでしょう>。
本当につらいときに「でもそのつらさは永遠じゃないよ」と言ってもらうことが救いとなりうるかどうかは、正直人によると思う。
ただ、「いつか終わるんだから」という想いを胸に日々を生きている人だって、世の中には一定数存在するはずだ。
「永遠なんてない」ということは、現在のつらさが続かないと同時に、今ある幸せもずっと続くことはないということを意味する。だから、いま現在幸せを感じている人にとっては、ある意味「残酷な」歌と言えるかもしれない。
それでも、私はやっぱりこの歌詞に救われた。<何回だって言うよ 世界は美しいよ 君がそれを諦めないからだよ>。
諦めなければ、世界の尊さは失われることはないのだ。平家の栄枯と盛衰を描いたアニメ【平家物語】のテーマ曲として、これほどぴったりな歌詞は他にないと思う。
そして、平安時代でなく21世紀を生きる私たちにとっても、間違いなく【救いの歌】の一つと言えるだろう。悲しさと強さ、美しさ、あらゆる要素を併せ持つ一曲【光るとき】、ぜひいつかライブで聴きたいものだなあと願う今日この頃。
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